カツオ漁370年の歴史網羅 高知・土佐清水出身の元通信士が本出版
高知県土佐清水市出身でカツオ船通信士などを長年務めた植杉康英さん(77)が、土佐清水のカツオ漁やカツオ節づくりの歴史を史実に基づき描いた「土佐カツオ漁に生きた男たち―土佐清水のカツオ漁370年の歴史を網羅」を出版した。2018年に出した「土佐カツオ漁哀史―琵琶丸の悲劇と土佐漁師」に続く2作目。1作目と同様、農学博士の二平章さんが編著に参加した。
植杉さんは数年前より、甲状腺から全身に転移したガンの闘病を続けている。手術を数回受け、薬の副作用とも戦いながら、取材と執筆を続けてきた。6年あまりの時間をかけて、やっと出版までこぎ着けた。
本書には、江戸時代に今の和歌山県から土佐清水にたどり着き、地元の人々にカツオ漁やカツオ節作りを教えた人物からの歴史の流れや、昭和初期以降のカツオ漁の変遷のほか、植杉さんが活躍した当時のカツオ漁師の「武勇伝」などが克明に描かれている。
植杉さんは、3作目となる「土佐カツオ外伝 望郷の海」の執筆も最終段階に差し掛かっている。漁労中に帰らぬ人となった実在のカツオ漁師をモデルにした。「いかなる場合でも、あなたはその人を許すことができますか」という植杉さんの生涯のテーマを基に描かれた渾身(こんしん)の作だ。植杉さんの作品には「カツオ漁に生きた男たちを知ってほしい」という切な思いが流れている。
A5判474ページ。定価3000円。高知市本宮町の株式会社「飛鳥」(088・850・0588)などで取り扱っている。【上野力】
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