袴田巌さん姉ひで子さん、ローマから帰国 「世界に感謝伝えられた」国際会議で死刑廃止訴え

2025/11/02 08:44 

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 現在の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑判決を受け、2024年に再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉ひで子さん(92)がイタリア・ローマでの国際会議から帰国し、1日、浜松市中央区で記者会見を開いた。死刑廃止などを訴えた同会議でのスピーチを振り返り、「応援してくれた世界の皆さまに感謝を伝えられて本当にうれしかった」と語った。
 ひで子さんは10月25日に出国し、ローマで開かれた宗教者の国際平和会議に参加した。28日の死刑廃止の分科会は、巌さんが無罪を勝ち取るまでに長い年月を要したことや、長期拘束による精神的な影響が現在も残る状況などを伝えた。「弟の身に起こったことが、この世界から死刑や冤罪(えんざい)をなくすことにつながるよう、切に願います」と訴えたという。
 巌さんは体調などを考慮し、同行しなかった。ひで子さんは「飛行機での長時間の移動は難しいと判断した。本人には『あんたの代わりにローマへ行ってくる』と伝えた」と説明。バチカンで購入したクマのぬいぐるみを土産に持ち帰り、渡したことも明かした。
 ひで子さんは「日本はもとより世界中からの応援があったからこそ、巌は自由になった。そのお礼を申し上げることが一番の目的だった」と強調。今後も「お招きいただければ、どこまでも行く。世界中の人に冤罪(えんざい)というものに関心を持ってもらいたい」と力を込めた。
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