静岡ゆかり・石橋湛山の思想再評価 超党派勉強会が活況 貿易主体に平和的経済発展…日本の針路…

2025/05/12 10:00 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 静岡県ゆかりの石橋湛山元首相(1884〜1973年)が国会議員の間で再評価されている。石橋内閣は65日間の短命政権だったが、石橋の思想を学ぶ超党派の勉強会が活況だ。トランプ米政権の高関税措置により国際情勢の不確実性が増す中、貿易を主体に平和的な経済発展を主張した石橋の姿勢が日本の針路を探るヒントになっている。
 石橋は東洋経済新報社などを経て、47年に当時の衆院静岡2区から出馬し初当選。56年に首相に就いた。戦前、軍事力による領土拡大に反対し、旧来の領土で経済合理性を重視して発展を目指す「小日本主義」を唱えた。首相として「1千億円減税、1千億円施策」の積極経済を掲げたほか、冷戦構造を脱却する日中米ソ平和同盟を構想した。
 石橋に注目が集まったのは昨年の臨時国会での所信表明演説だ。石破茂首相は「力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず」との石橋内閣の施政方針を引用し、少数与党の国会で与野党の合意形成に努める考えを示した。その後の論戦でも石橋に言及。「経世済民という考え方を体現した人。大きな業績を上げた内閣だった」と評した。
 2023年に始まった超党派の勉強会は、有識者を招いて定期的に開かれている。自民党の岩屋毅外相、立憲民主党の篠原孝衆院議員、国民民主党の古川元久代表代行が共同代表を務める。石破氏も首相就任前はたびたび出席した。
 国会内で9日に開かれた勉強会では立正大の増田弘名誉教授(日本外交史)が講演で、政治家としての石橋の魅力について「孤立を恐れず、常に自分が正しいと信じる道を進んだ」と紹介した。古川氏は「貿易政策、経済政策における石橋湛山の考え方を時代が求めている。ぜひ政権運営にいかしてほしい」と語る。
 勉強会には本県の議員4人も参加している。事務局長を務める立民の小山展弘衆院議員(静岡3区)は「参加議員それぞれの立場で、勉強会での学びを活動に生かしてほしい」と述べた。
静岡新聞

静岡ニュース

静岡ニュース一覧>

注目の情報