第二の人生へテイクオフ! 「ブルーインパルス」元隊員の春山さん 浜松市の山あいでポン菓子店

2025/05/04 09:30 

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 航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の元隊員が、第二の人生を山あいののどかな環境で始めた。春山維彦さん(52)=浜松市中央区=は昨秋、同市天竜区谷山にポン菓子の販売と喫茶の店「杏庵(きょうあん) ぽんや」を開いた。春山さんを知るファンの間で口コミが広がるなど、全国各地から客が訪れる。春山さんは「お客さんの笑顔が仕事のやりがい。その思いは隊員の頃と変わらない」と話す。
 春山さんは1991年、航空自衛隊に入隊。2014〜17年の3年間、ブルーインパルスの隊員として活躍し、編隊の先頭を飛行する1番機を務めた。マッハ約0・9(時速約1040キロ)を出す機体を操り、全国各地の空に白線の軌跡を描いた。任期を終えた後は県内外の基地で教官などを務めた。
 50代を迎えると「納得できる人生を歩みたい」と思い、起業を考えた。思い切った選択だったが、妻に「辞めるわ」と言うと「もういいんじゃない?」と快く背中を押してくれた。
 定年まで6年残して昨年3月末に退職した。鹿児島県の義母が手がけるポン菓子の製造を学び、開店準備を進めた。店舗は知人を介して見つけた。天竜川に近い国道152号沿いの自然に囲まれた地域の店で、のどかな雰囲気が気に入っている。
 ぽんやを訪れた広島県の主婦秦由紀さん(61)は春山さんのファン。秦さんは「パイロットとして活躍していた頃の姿もかっこいいけれど、店で切り盛りしている姿もかっこいい」と話した。
 「ブルーインパルスに乗っていた時と今の仕事はつながっている」と春山さん。多くの人たちに夢や希望を伝えようと機体を操った時の思いは、目の前の人を喜ばせたい現在の仕事と似ている。「自分の仕事で誰かの笑顔を見るのが好きなんです」と笑う。
 今後は会社と工場の設立が目標だ。「生涯現役でチャレンジしていきたい」と新たな目標への“フライト”は始まったばかりだ。
 ぽんやは土日と祝日の営業(時間は午前10時〜午後4時)。
静岡新聞

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