「ブラックボックス」化する宗教法人の寄付 首相支部に3000万円
高市早苗首相が代表を務める自民党支部には2024年、宗教法人が3000万円を寄付していた。毎日新聞がその寄付の妥当性をチェックしようとしたが、裏付けとなる文書が開示されなかった。政治資金規正法で国民の監視をうたう制度が「ブラックボックス」化している不備が浮かび上がってきた。
この法人は奈良市に拠点がある「神奈我良(かむながら)」。首相が代表の「自民党奈良県第2選挙区支部」は24年、総額で約1億4300万円の寄付を集めていた。神奈我良は個人や企業・団体による献金のうちで最高額だった。
企業や団体は支部を含む政党のほか、政党が指定する政治資金団体に献金することが可能で、年間で上限が設けられている。「その他の団体」に位置付けられる宗教法人は、前年にかかった経費に応じて寄付額の幅が決まる。3000万円を寄付するには6000万円以上の経費が生じている必要がある。
◇「外」から確認できない収支
毎日新聞は経費を把握するために神奈我良に財務関連の書類を求めたが、「外部に開示していない」との返答があった。
宗教法人は毎年、財産目録と収支計算書を作る必要がある。書類の写しは文部科学省や都道府県への提出義務があるが、これも外部からは閲覧できない運用になっていることが宗教法人を所管する文化庁への取材で明らかになった。
結果として、寄付額が法律の定めをクリアしているのかは確認できなかった。神奈我良の女性代表は取材に対し、「規正法に定められた要件を満たしている」と書面で回答した。この女性は個人としても1000万円を寄付。上限で年2000万円とする規制の範囲内だった。
政治資金規正法はその目的として「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」と掲げている。政治資金の収支を明らかにすることを基軸とし、その是非を巡る判断は国民に委ねている。
宗教法人による政党支部への多額の寄付はほとんど例がないが、政治資金問題に詳しい上脇博之・神戸学院大教授は「国民による違法性のチェックができないなら、上限規制は意味がない。宗教法人による献金を禁止するか、収支書類を公開する手続きに改める必要がある」と指摘する。【矢追健介】
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