「そこじゃない」 タイ首相、被災者に自腹1000バーツを配るも

2026/10/01 11:54 

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 洪水で5日間も水につかった住宅街を訪れたタイのアヌティン首相が、支援物資がなくなると、自分の財布から1000バーツ(約4700円)札を取り出し、住民に配り始めた。

 一見、被災者への善意にも見える行動だった。ところが、その映像がSNSで拡散されると、「首相がやるべきことはそれではない」と反発が広がった。

 アヌティン氏は9月29日夜、膝まで水につかりながら被災地を視察していた。食料や飲料水などを配った後、1000バーツずつ現金を手渡す様子がライブ配信された。バンコクでは先週末、3日間でほぼ1カ月分にあたる雨が降り、広い範囲が冠水した。

 翌30日、アヌティン首相は、批判した野党議員に「自分の基準で他人を測るな」と反発し、「私は両親から、住民を大切にするようきちんと教えられてきた」とも語った。

 アヌティン氏が被災者に直接現金を配る姿には、票の買収を連想させるとの指摘も出た。だが、より強く問われたのは政府の対応だった。

 プレームサック上院議員は、政府の災害対応を「完全な失敗」と批判。アヌティン氏が自腹で現金を配っても、すべての被災者を助けられるわけではないと指摘した。

 英字メディア「カオソッド・イングリッシュ」のベテラン記者も、必要なのは洪水対策や分かりやすい警報、迅速な政府対応だと指摘。「洪水に苦しむ住民に、首相が自腹で1000バーツを配ることではない」と批判した。

 アヌティン氏の1000バーツは、政府の洪水対応への不満を、かえって際立たせる結果になった。【バンコク小泉大士】

毎日新聞

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