殺害されたラリジャニ氏とは デモ鎮圧を指揮 現実主義者の面も

2026/03/18 20:41 

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 イスラエル軍に殺害されたイラン最高安全保障委員会トップのラリジャニ事務局長は、現体制を支える中心人物の一人だった。現実主義者の面もあったとされ、今後、体制内でより強硬な人物が台頭する懸念も指摘されている。

 「我々は、イランの人々がこの体制を排除する機会を得られるようにするため、体制を弱体化させる」。イスラエルのネタニヤフ首相は17日、ラリジャニ氏殺害をこう誇った。

 ラリジャニ氏は精鋭軍事組織・革命防衛隊の幹部などを経て、前最高指導者アリ・ハメネイ師の顧問を務めた。国防・外交政策全般を統括し、対米関係や1月に激化した国内の反政府デモ鎮圧について、指揮を執ったとされる。

 米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ハメネイ師は米イスラエルによる攻撃に先立ち、自身が殺害された後も体制が存続できるよう、側近であるラリジャニ氏に権限を大幅に委譲していたという。

 ラリジャニ氏は核開発を巡り、欧米との協議を優先する現実主義者でもあった。2015年に欧米などと結んだ核合意にも貢献したとされる。また、ラリジャニ氏の娘は、最近まで米国の大学の研究者だったという。

 イランでは昨年6月と今回の戦闘で体制の幹部が次々と殺害されている。イランの専門家は、ラリジャニ氏が欧米と交渉しうる最も有力な人物だったと指摘。ラリジャニ氏の死亡でより強硬な人物が頭角をあらわす可能性もある。

 一方、ロイター通信は17日、イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師が、仲介国を通じて提示された緊張緩和案を拒否していたと報じた。

 モジタバ師は12日に就任後初の声明を発表したが、これまで本人の肉声や映像は公開されていない。米側の攻撃で負傷したと報じられており、動向が注目されている。

 ロイターは、イラン政府高官の話として、緊張緩和に向けた案が二つの仲介国を通じてイラン側に提示されたと伝えた。これに対し、モジタバ師は就任後初の外交政策会議で「米国とイスラエルが屈服し、敗北を認め、賠償金を支払うまでは和平の適切な時期ではない」との考えを示したという。ただ、会議の時期やモジタバ師の出席の有無は明らかにされていない。

 米イスラエルとイランによる激しい戦闘は続いている。米中央軍は17日、ホルムズ海峡付近のミサイル施設に5000ポンド(約2300キロ)級の地下貫通弾を投下したと発表した。「海峡を通過する船舶に脅威をもたらした」としている。

 また米ニュースサイト「アクシオス」は18日、イスラエル軍がイラン南部にある天然ガス関連施設を空爆したと報じた。被害の程度は不明。 イランも反撃している。革命防衛隊は18日、ラリジャニ氏殺害の報復として、イスラエル中部に弾道ミサイルを発射。イスラエルメディアによると、この攻撃により中部ラマトガンで2人が死亡した。

 ロイターは17日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、迎撃された弾道ミサイルの破片が落下しパキスタン国籍の1人が死亡したと伝えた。UAE東部フジャイラ沖では、クウェートのタンカーが無人機による攻撃を受け、船体の一部が損傷した。

 国連世界食糧計画は17日、戦闘による輸送コスト上昇で、食品価格が高騰しており、世界で新たに約4500万人が深刻な食料危機に陥る可能性があると警告した。【飯田憲、ワシントン松井聡、カイロ松本紫帆】

毎日新聞

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