“追悼ヘルメット”選手失格にゼレンスキー氏らが批判 政治問題化か

2026/02/13 07:16 

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 ミラノ・コルティナ冬季オリンピックで、国際オリンピック委員会(IOC)が12日にスケルトン男子のウクライナ代表、ウラジスラフ・ヘラスケビッチ選手を失格処分としたことに対し、ゼレンスキー大統領らウクライナ側から批判が相次いでいる。ウクライナを支援する国々の大統領らもIOCに異議を唱えており、政治問題化しつつある。

 ヘラスケビッチ選手は、ロシアによる侵攻で犠牲になったアスリートたちへの追悼の意を示すため、彼らの肖像画が描かれたヘルメットを12日のレースで着用しようとして失格となった。IOCは「五輪の会場におけるデモや政治的、宗教的、人種的な宣伝活動」を禁じた五輪憲章に基づくガイドラインに違反したことを失格の理由としている。

 IOCのコベントリー会長はレース直前の12日朝、ヘラスケビッチ選手と面会し、ヘルメットの使用をやめるよう説得したが、受け入れられなかった。その後、声明を出し、「追悼のメッセージ自体に反対しているわけではない」と強調した上で、「競技の場では全ての選手にとって安全な環境を保たなければならないため、残念ながらメッセージの発信は許されないということだ」と説明した。

 ウクライナや支援国は反発している。ゼレンスキー氏は12日、X(ツイッター)で「彼のヘルメットはロシアの侵略とは何かを世界に思い出させるものだ。何の規則も破っていない」と主張。「五輪運動は戦争を止める助けとなるべきであって、侵略者の思うつぼになってはならない。残念ながら、IOCの決定はその逆を示している」と非難した。

 ロシアに隣接するラトビアのリンケービッチ大統領も12日、Xに「IOCは明らかに間違っている」と投稿。エストニアのツアフクナ外相もXで「(失格処分は)正当化できない。攻撃を受けている国の声を抑圧している」と厳しく指弾した。

 ロイター通信によると、ラトビアのスケルトンチームのコーチは国際ボブスレー・スケルトン連盟に抗議し、ヘラスケビッチ選手の復帰を求めたという。

 他国のスケルトン選手たちには衝撃が広がっているが、「彼は信念を貫く。(追悼ヘルメットを使うことは)滑ることよりも重要だと考えたのだ」(米国のダニエル・ベアフット選手)など、ヘラスケビッチ選手の行動を擁護する声も出ている。

 一方、他種目のウクライナ選手も、メッセージ入りのヘルメットの使用をIOC側から禁止された。

 ウクライナメディアなどによると、スピードスケート・ショートトラック男子のオレフ・ハンデイ選手のヘルメットには「勇敢さがあるところに決定的敗北はない」、フリースタイルスキー女子のカテリーナ・コツァル選手のものには「ウクライナ人のように勇敢であれ」と書かれていた。両選手は禁止措置に従い、メッセージをテープで消すなどしたという。【ミラノ福永方人】

毎日新聞

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