韓国、12月3日を「国民主権の日」に 戒厳令1年 李大統領が発表

2025/12/03 10:25 

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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の戒厳令宣布から1年を迎えた3日、李在明(イ・ジェミョン)大統領は国民に向けた談話を発表した。

 李氏は「憲政秩序と民主主義を守り抜いたことを記念し、より強固な民主主義を誓うきっかけにする」と述べ、12月3日を「国民主権の日」と定める方針を示した。

 尹氏は当時の野党を北朝鮮の影響下にある「反国家勢力」などと糾弾し、戒厳令を宣布。軍隊や警察を国会に投入した。一方、市民らは国会前でデモを展開し、軍隊が国会に入るのを阻止した。

 国会が戒厳令の解除要求決議案を可決したため、約2時間半で戒厳令は解除され、約2週間後に尹氏は弾劾された。

 李氏は談話で「逆説的だが、(戒厳令が)韓国国民の高い主権意識と韓国民主主義の驚くべき回復力を世界中に知らしめた」と指摘。「民主主義の危機を平和的な方法で克服した国民こそ、ノーベル平和賞を受賞する十分な資格がある」との考えを示した。

 また、戒厳令の真相究明と責任追及はまだ終わっておらず、「私的な野望のために憲政秩序を破壊したその無道さは必ず審判を受けなければならない」と強調。「クーデターの加担者に対する厳正な処罰は、その始まりだ」とも述べた。

 政府は11月に戒厳令に加担した公務員を調査し、処罰する方針を発表した。韓国メディアからは「政治対立を激化させる」と懸念する声も上がっているが、政府は推進する姿勢を改めて示した形だ。【ソウル日下部元美】

毎日新聞

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