米国防総省「長官のシグナル使用は不適切」 ベネズエラ攻撃でも批判

2025/12/04 10:49 

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 ヘグセス米国防長官が民間の通信アプリ「シグナル」で米軍の軍事作戦に関する情報をトランプ政権高官らと共有した問題で、国防総省監察官室は、シグナルの使用が「米軍の部隊と任務に危険を及ぼす可能性があった」とする報告書をまとめた。複数の米メディアが報じた。ヘグセス氏は南米ベネズエラの「麻薬運搬船」攻撃を巡っても議会で批判が高まっており、逆風はさらに強まりそうだ。

 米CNNテレビによると、ヘグセス氏は3月、米軍がイエメンの親イラン武装組織フーシ派への攻撃を始める直前、中央軍が「機密」として送信した攻撃計画の詳細を、政権高官らが参加するチャットグループに投稿。妻や兄弟にも、別のチャットグループを通じて共有したという。 

 報道によると、監察官室は「シグナルを使用すべきではなかった」と指摘したが、法律違反とは認定しなかったとみられる。国防長官には機密指定の解除権限があり、ヘグセス氏は調査に対し、シグナルに投稿する際に自ら解除を決定したと主張したという。

 国防総省の報道官は今回の調査で「機密情報が共有されなかったことが証明された。この問題は解決し、本件は終結した」との声明を出し、幕引きを図る構えをみせた。報告書は4日に公表される予定だ。

 一方、ヘグセス氏を巡っては、米軍が9月に初めて実施した南米ベネズエラの「麻薬運搬船」の攻撃で、乗組員全員の殺害を指示したとも報じられている。戦争犯罪に当たる可能性があるとの指摘も出ており、「身内」の共和党が主導する上下両院の軍事委員会が調査を進めている。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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