ロシア無人機が領空侵犯、ポーランドが4機を撃墜 米欧を揺さぶりか

2025/09/10 20:34 

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 ポーランドのトゥスク首相は10日、9日夜から10日早朝にかけてポーランド東部で領空侵犯したロシアの無人航空機(ドローン)を4機撃墜したと発表した。けが人はなかった。ロイター通信によると、2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、北大西洋条約機構(NATO)加盟国による露側への武力対応が明らかになったのは初めて。米欧諸国がロシアへの追加制裁を検討する中、露側には軍事的な緊張を高めて揺さぶる狙いがあるとみられる。

 トゥスク氏によると、無人機による領空侵犯は19回あり、多くはベラルーシ方面から飛来した。ロイターによると、ポーランド内務省は10日、「7機の無人機とミサイルの破片一つを見つけた」と説明。無人機の迎撃作戦には、ポーランドと同じNATO加盟国のオランダやイタリアの航空機も参加した。

 ポーランドメディアによると、ドローンとみられる物体が東部ビリキの住宅に激突して屋根が壊れた。首都ワルシャワの空港は数時間にわたり閉鎖された。

 ドローンが飛来した時間帯には、ウクライナ西部でもロシアによる攻撃が起きていた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ポーランドに向かう露無人機の動きをポーランド側に伝えていた」と説明。二十数機がポーランド領空に入った可能性があると指摘した。

 トゥスク氏は10日の国会での演説で「第二次世界大戦以来、最も軍事的な衝突に近い状況にある」と強調。領土保全が脅かされたと判断し、NATOの条約第4条に基づき、加盟国の協議を要請したと明かした。

 英国、フランス、イタリアなどの首脳らは攻撃を一斉に非難。CNNによると、ルビオ米国務長官も状況説明を受けた。一方、NATO高官は領空侵犯を「攻撃とはみなさない」とロイターに話した。NATOの条約には、加盟国への武力攻撃を全体への攻撃とみなし、集団的自衛権を行使するとの規定がある。

 AP通信によると、ポーランドでは今年8月、東部でロシアのドローンが爆発する事案があった。22年11月にはウクライナが発射した迎撃ミサイルがポーランド東部の村に着弾し、2人が死亡した。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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