仏バイル内閣が総辞職へ 下院、予算案の是非問う信任投票を否決

2025/09/09 09:47 

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 フランス国民議会(下院、577議席)は8日、バイル内閣の信任投票を実施し、反対多数で否決した。バイル首相は9日にもマクロン大統領に辞表を提出し、内閣は総辞職する。仏大統領府によると、マクロン氏は数日以内に新首相を指名する見通し。

 下院によると、不信任は364票、信任は194票だった。バイル氏は財政赤字削減のため、約440億ユーロ(約7兆5000億円)の支出削減策を盛り込んだ2026年度予算案の是非を問うため信任投票に踏み切ったが、支持を得られなかった。

 マクロン氏はバイル氏の辞任を承認後、新首相の選定に入る。与党の中道連合(161議席)は単独では過半数(289議席)に届かず、政権安定のためには中道右派・共和党(49議席)のほか、中道左派・社会党(66議席)、環境政党・エコロジスト(38議席)などとの協力が必要となる。

 バイル氏は信任投票に先立ち、社会党との協力を模索したが不調に終わった。社会党は1億ユーロ以上の個人資産への最低2%の課税で220億ユーロを捻出する代案を示しているが、与党側との隔たりは大きく、新内閣への協力をめぐり調整が再び難航する可能性がある。

 一方、極右・国民連合(RN)は解散・総選挙を求めているが、マクロン氏は認めない方針とみられる。

 仏下院は昨年6~7月の総選挙でどの勢力も過半数に達せず、その後も不安定な政権運営が続いた。総選挙後に指名された共和党出身のバルニエ前首相率いる内閣も昨年12月、25年度予算案を巡る不信任決議で、発足からわずか3カ月で総辞職している。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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