イラン核開発、ロシアと中国は制裁回避模索 英仏独による交渉は難航

2025/08/27 13:09 

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 英国、フランス、ドイツとイランは26日、スイス・ジュネーブで外務次官級会議を開き、イランの核開発問題について協議した。英仏独は8月末までに外交的解決の道筋が見えなければ、国連安全保障理事会の対イラン制裁を復活させる「スナップバック」を発動させると警告しており、イランは強く反発している。AP通信によると、この日の協議でも折り合いはつかなかったという。

 2015年にイランと英仏独などが結んだ「核合意」では、イランが核開発を制限する見返りに安保理の制裁などが解除されたが、合意違反があればスナップバックを発動できると定められた。

 英仏独はイランが核開発を進めたことから、この措置の発動を警告。一方、イランは英仏独も経済関係の正常化などの義務を履行しておらず、発動の権利はないと主張している。

 イランのガリババディ外務次官は協議後、X(ツイッター)で、外交的解決を目指す姿勢を改めて強調し、「英仏独と安保理が正しい選択を行うために時間を与えるべきだ」と述べた。

 イランは4月、米国と核開発を巡る協議を始めたが、6月にイスラエルや米国がイランの核施設などを攻撃したことを受け、交渉は停止している。

 英仏独はイランに対し、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ再開や外交解決に向けた姿勢を見せれば、スナップバック発動を延期すると提案している模様だ。

 核合意を承認した安保理決議は10月中旬に期限を迎える。核合意の当事国であるロシアと中国は、核合意を承認した決議の期限を半年間延長する新たな決議案を安保理に配布し、対イラン制裁復活の回避と「時間稼ぎ」を模索する。

 ロシアのポリャンスキー国連次席大使は26日、決議案について「外交的な努力を本当に支持したい理事国と、イランに対する利己的な思惑を追求したい理事国にとってのリトマス試験紙になる」と記者団に述べ、西側をけん制した。【カイロ金子淳、ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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