トランプ氏、「MAGA」派から批判 中国人留学生政策「転換」で

2025/08/27 11:29 

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 トランプ米大統領が熱心な支持基盤である「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」派からの批判にさらされている。これまで学生ビザ(査証)の審査を厳格化するなど厳しい姿勢をとってきたトランプ氏が25日に突然、60万人もの中国人留学生を米国の大学に受け入れる意向を示したからだ。支持基盤が揺らぐようなことになれば、来年11月の中間選挙で上下両院での共和党の多数派維持を目指すトランプ氏にとって打撃になる。

 発端はトランプ氏が25日にホワイトハウスで韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と会談した際、記者団から米韓関係について聞かれた際の答えだった。トランプ氏は米中関係の重要性に話を移す中で、「我々は中国の学生の受け入れを許可する。非常に重要だ。60万人の学生だ」と語った。

 トランプ政権はこれまで、滞在期間の超過や法律違反を理由に学生ビザを剥奪したり、ビザ審査を厳格化したりしてきた。5月には、ルビオ国務長官が中国共産党と関連のある中国人留学生や重要分野を研究する中国人留学生のビザを積極的に取り消すことや、新規申請者の審査を強化するとの声明を出していた。

 中国人留学生の受け入れ拡大は大きな「方針転換」だ。トランプ氏の発言に対して、中国の影響力拡大や「リベラルの拠点」と問題視している米国の大学に中国人留学生が流入することを懸念するMAGA派から批判が相次いでいる。

 保守系FOXニュースの著名なアンカー、ローラ・イングラム氏は25日夜の番組で、ラトニック商務長官に「共産主義国家の中国から60万人の学生を受け入れることが、どうして米国第一主義と言えるのか?」とただした。ラトニック氏は「60万人の学生がいなくなれば、米国の下位15%の大学が廃業に追い込まれる」と説明したが、イングラム氏は「それは米国の子供たちが得ることができない60万の(入学)枠だ」などと批判した。

 MAGA派の代表格、マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員はX(ツイッター)に、「中国人学生の受け入れを拒否して15%(の大学)が失敗しても、それらは中国共産党に支えられている以上失敗すべき教育機関だ。決して許すべきではない」と投稿。右派活動家のMAGA派インフルエンサー、ローラ・ルーマー氏もXに「誰も60万人の中国人『留学生』、つまり共産党のスパイ、が米国に流入することを望んでいない」と書き込んで非難した。

 これに対し、トランプ氏は26日の閣議の際、記者団から中国人留学生に対する方針を明確化するようたずねられ、「もし彼らが来なかったら、我々の大学システムはあっという間に地獄に落ちる。トップの大学ではなく、下位でもがいている大学だ」と説明。「我々はチェックし、注意深く、誰がここ(米国)にいるのかを確認している」と述べて理解を求めた。

 米国際教育研究所の報告書によると、2023~24学年度に米国の大学が受け入れた外国人留学生は約113万人。中国からの留学生は約28万人で、インドからの約33万人に次ぐ2位だった。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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