ゼレンスキー氏、 領土交渉の余地あると示唆 米露に「安全」要求も
ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は17日、米ワシントンで18日に予定されるトランプ米大統領との首脳会談を前に、ブリュッセルで記者会見し、米露両国との3者による首脳会談が実現した場合、国内の露側占領地域に関する交渉を進める余地があるとの意思を示唆した。
「領土の割譲は不可能」とも明言しており、広大な被占領地域が長期間存在する状況を事実上容認する譲歩までを想定しているとみられる。また、停戦後のウクライナの「安全の保証」を米露両国に強く求める意向をあらためて示した。
ゼレンスキー氏は欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長との会談後、共同記者会見した。フォンデアライエン氏は欧州の他の首脳と共に、ワシントンでの18日の首脳会談に同行すると発表した。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ロシアのプーチン大統領はトランプ氏との15日の首脳会談で、和平の条件として露側が広域を占領するウクライナ東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)からのウクライナ軍の撤退を要求したとみられる。
これに対しゼレンスキー氏は17日の会見で、ロシアとの占領地域を巡る交渉について、「領土の割譲や交換はウクライナの憲法上、不可能」と述べる一方、露軍がドンバス地方の全域を占領していないことを念頭に、「我々は現実的な交渉を求めている。現在の前線が議論の出発点となる」との認識を示した。法的な領土の割譲ではなく、前線の凍結やウクライナ軍の撤退などを含めた事実上の占領の容認を想定しているとみられる。
ゼレンスキー氏は「領土の問題は非常に重要で、ウクライナ、ロシア、米国の3者でのみ協議すべきだ」との認識を示し、ロシアが3者による協議に応じない場合、「制裁が強化されなければならない」とも強調した。
一方、18日の首脳会談で焦点になるとみられる停戦後のウクライナの「安全の保証」について、会見に同席したフォンデアライエン氏は「トランプ氏が第5条に類似する安全の保証でウクライナに貢献する意思を示したことを歓迎する」と述べ、米側からウクライナと欧州に、一国への攻撃を全体への攻撃とみなして集団で防衛する北大西洋条約第5条に近い枠組みの提案があったことを認めた。
ウクライナ外交筋によると、米側が提案した安全の保証は、プーチン氏が北大西洋条約機構(NATO)の拡大へ強い懸念を示していることから、NATOの枠組みを除外した形式となる見通しという。
ゼレンスキー氏は米側の提案について会見で、「米国が欧州と共にウクライナの安全の保証に向け取り組むことに同意したことは重要で、トランプ氏に大変感謝する」と述べた。一方で、「米国や欧州がどのような役割を担い、全体としてどう機能するのか詳細が不明だ」として、18日の首脳会談で、米側と詳細を協議するとともに、米露両国に確実な保証をあらためて求める意向を示した。
ウクライナの安全の保証を巡っては、英仏を中心とした有志国連合も17日、オンライン会合を開き、停戦後のウクライナに平和維持部隊を派遣することや、ウクライナ軍の強化を支援することで一致した。ただ、米軍の防空能力や情報収集能力は強力で代替不可能とされるため、米軍の関与を含めた強力な安全の保証を米側に求めた。
18日の首脳会談にはフォンデアライエン氏のほか、マクロン仏大統領、スターマー英首相、メルツ独首相、メローニ伊首相らが同行する。ゼレンスキー氏は2月のホワイトハウスでの米国との首脳会談で、トランプ氏やバンス米副大統領らと口論になり、和平に向けた交渉が決裂した経緯がある。ゼレンスキー氏は今回も、米側から和平合意に向けて領土問題などで強い圧力を受ける可能性があるため、欧州首脳に支援を求めたとみられる。
マクロン氏は17日、「もし我々がロシアの前で弱みをみせれば、将来の紛争の種をまくことになる。我々はウクライナの強く永続的な平和と、領土保全が尊重されることを望む」と述べた。【ブリュッセル宮川裕章】
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