ミャンマー地震3カ月 「急性期」の孤立地域で奔走する日本人医師
「目の前の命を救いたい」。ミャンマーで起きた大地震から3カ月。国軍と民主派の戦闘が続く北部では、今も支援物資の搬送が滞っている。そうした中、孤立した地域を巡り、緊急支援に奔走する日本人医師がいる。
◇乏しい人材と物資 求める支援の継続
「ザガインはまだ災害の『急性期』のまま。インフラは壊れ、水も圧倒的に足りない」
そう語るのは、医師の林健太郎さん(52)。4月中旬、第2の都市マンダレーに入り、その後、震源に近い都市ザガインを拠点に支援活動を続けている。
被災地では市民病院が倒壊するなど、医療体制が事実上崩壊。地下水脈も崩れ、井戸が使えなくなったほか、配水管も壊れた。避難所には飲み水はおろか、手洗い用の水すらない。
「トイレも使えず、ドアノブなどに汚物がこびりついているような状況です」
林さんは現地の看護師らとともに訪問診療に取り組み、深刻な水不足にも対応。給水車を運用して避難所に水を届けてきた。
被災から3カ月がたち、重傷患者は減ってきたが、タンクにためた雨水の上澄みでしのぐ生活が続いている。劣悪な衛生環境の下、下痢や感染症に苦しむ被災者も多いという。
今後はクリニックの整備やメンタルケアなど、中長期的な支援体制が求められる。だが、人材も物資も乏しく、支援の継続が危ぶまれている。
◇続けたきた医療支援は争いを減らすため
林さんは琉球大医学部を卒業後、2004年に「国境なき医師団」に参加。イラクやスリランカの紛争地のほか、ミャンマーにも派遣された。08年に死者・行方不明者約14万人を出したサイクロン「ナルギス」の被災地や、内戦が続く地域で医療支援を行った。
「生活基盤が整えば争いも減るはず」。そうした思いから、林さんはその後、ミャンマーで人道支援団体を立ち上げた。少数民族が暮らす山岳地帯で「八角」の栽培を支援。抗インフルエンザ薬「タミフル」の原料となるこの作物を通じて、現地に雇用と収入の機会を生み出してきた。ここ数年は、一年のうち3分の1ほどをミャンマーで過ごしている。
今回の地震発生時は日本にいたが、状況を知りすぐに現地入りを決断。軍事政権は民主派などに物資や資金が渡ることを警戒し、支援活動にも制限をかけるものの、林さんは長年の実績から当局の許可を得て活動している。
現在は一時帰国中で、7月には再び現地に戻る予定だ。林さんはクラウドファンディングも立ち上げ「目の前の命をつなぐために、力を貸してほしい」と呼びかけている。【飯田憲】
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