米議会がロシアへ追加制裁案 トランプ氏慎重「台無しにしたくない」

2025/05/30 07:32 

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 ロシアがウクライナとの速やかな停戦に消極的な姿勢を示す中、米連邦議会でロシアへの追加制裁を求める声が高まっている。超党派の議員は追加制裁の法案を提出。制裁に慎重な立場のトランプ大統領は28日、プーチン露大統領が停戦する用意があるかを「約2週間以内」に判断するとし、対応を変える可能性に言及した。ただ、ロシアが制裁に反発することへの懸念も依然として根強いとみられる。

 「プーチンがゲームを続けていることは明白になりつつある。ゲームが続く場合、上院は行動に移す用意がある」。追加制裁の法案を主導する共和党の重鎮のグラム、民主党のブルーメンソル両上院議員は21日の声明でこう訴えた。

 法案の柱は、ロシアからエネルギーを購入する国からの輸入品に対して、最低500%の関税を課すことだ。上院の定数100人のうち、可決に必要な80人以上が法案に賛同している。

 グラム氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルで、ホワイトハウスと法案について調整してきたと説明。「この法案はロシアを貿易で孤立状態に追い込む。中国やインドが石油の購入をやめれば、プーチンの軍は機能しなくなる」と主張した。

 議会にはプーチン氏が停戦の条件で譲歩するつもりはなく、交渉の引き延ばしを図るため「言い訳を重ねている」(グラム氏)との見方が広がる。法案を用意することでロシアに対して圧力をかけるとともに、事実上トランプ氏に対してもロシアへの圧力を強めるよう求めている格好だ。

 トランプ氏は28日、ホワイトハウスで記者団に制裁をためらう理由について「(停戦の)合意に近づいたと思えた場合、台無しにしたくない」と述べ、ロシアが制裁に反発することへの懸念を示した。

 ただ、トランプ氏がロシア寄りの言動を続けても事態打開につながる道筋は見えてこなかった。そればかりか、ロシアはウクライナへの攻撃を強化しており、状況は悪化している。トランプ氏はロシアへの不満を示し「2週間以内に(プーチン氏が)我々を欺いているかどうかを見極める。もし欺いているならば、少し異なる対応を取る」と語った。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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