イスラエルのネタニヤフ首相は２１日の記者会見で、パレスチナ自治区ガザ地区の戦争終結の条件として、ガザ住民の域外移住を含む、トランプ米大統領が掲げた計画の実行を挙げた。計画の完全実施には困難が多いが、極右政党に配慮し、戦争を継続するための理由にする狙いがあるとみられる。

　ネタニヤフ氏は戦争終結の条件として他に、ガザで拘束されている人質の解放やイスラム組織ハマスの非武装化などを挙げた。「すべてのガザの領土はイスラエルの管理下に置かれる」と主張。人道支援物資の搬入を２カ月半ぶりに再開させたことについては、同盟国からの支持を維持するためだと説明した。

　イスラエルは２１日、ガザ地区に人道支援物資を積んだトラック１００台が入ったと発表したものの、国連によると物資はまだ配布できていない。国連のドゥジャリク事務総長報道官は、イスラエルが通行を許可している地域が治安の不安定な場所のみで、略奪が起きる可能性があるためだと指摘した。

　イスラエル軍は２１日もガザ地区を攻撃した。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」は、２１日だけで少なくとも８２人が死亡したと報じた。ガザ保健当局は２１日、２０２３年１０月の戦闘開始以降のガザ側の死者数が、５万３６５５人になったと発表した。【エルサレム松岡大地】