反米発言の「愛国インフルエンサー」摘発 中国政治の風向き変化か
「反米闘士」と呼ばれる強硬な発言で数千万人のフォロワーを集める中国の言論人、司馬南氏(68)が巨額脱税容疑で摘発され追徴課税や罰金など計926万元(約1億9000万円)の支払いを命じられた。税務当局が21日に公表した。米中双方が首脳対話の実現を探っている微妙な時期だけに、ネット世論を統制する「一罰百戒」の政治的効果を狙ったとの見方もある。
中国メディアによると、税務当局は過去5年の間に司馬南氏が関連企業を含めて所得隠しや虚偽申告によって計537万元(約1億1000万円)の脱税をしたと認定。本人は不正を認め、追徴課税や罰金を全額支払ったという。
司馬南氏は1990年代から言論人として注目を集め、「米国は全世界の敵だ」などと西側諸国を批判し、左派の立場から大手の民間企業を攻撃する発言で「愛国インフルエンサー」として人気を博していた。
過去には、米国に住居を所有して家族が移住していることが明るみに出るなど、その言動は物議を醸してきた。今回の脱税問題を受け、過激な言動で注目を集めて金を稼ぐ「愛国ビジネス」に改めて厳しい目が向けられている。
今回の問題は、中国国営中央テレビもニュースで取り上げており、国内では政治的な「風向きの変化」を指摘する声もある。
そもそも「愛国」言論の台頭を後押ししたのは習近平指導部の政治姿勢だった。
政府自ら「愛国教育」の名の下にナショナリズムをあおり、「戦狼(せんろう)外交」と呼ばれる強硬姿勢で西側諸国との対立構図を鮮明にしてきた。また、毛沢東時代を思わせる社会主義的な価値観を前面に打ち出し、民間企業の締め付けを強めた。
欧米日を敵視し、国内の富裕層に反感を抱く司馬南氏の熱烈なファンは習国家主席の「岩盤支持層」となってきた。
ところが、国内経済の減速が長引くにつれ、習指導部は外資の誘致や民間経済の活性化にかじを切る必要に迫られている。排外主義的な「愛国」言論は対外イメージを悪化させ、民間経済を萎縮させる「もろ刃の剣」と化している。
既に共産党の宣伝部門はネット言論の統制強化に乗り出しており、昨年に日本人が死傷した襲撃事件が相次いだ際は、過激な反日言論の規制に動いた。
習指導部は今、トランプ米政権との対話を模索しているところだ。今月下旬には、「親トランプ」とされる米共和党の上院議員らが訪中すると、李強首相らが面会して厚遇。同じ時期に、中国当局は2年前に拘束していた米企業調査会社の北京事務所の中国人スタッフ5人全員を解放したとロイター通信が伝えた。
米国の関税引き上げに徹底抗戦の構えを示しながら、米中関係の不安定化は避けたい本音がうかがえる。【北京・河津啓介】
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