トランプ政権発足翌日に日米豪印が連携確認 インドで首脳会議へ
日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の外相会議が21日、米国の首都ワシントンで開かれた。トランプ政権発足の翌日に早くも、今後も連携を強化し、年内にインドで首脳会議を開く方針を改めて確認。米国の政権交代にかかわらず、クアッドの協力を深化させる姿勢を中国やインド太平洋の域内各国に対してアピールした。
21日には日米外相会談も開かれ、石破茂首相とトランプ大統領との初会談に向けて調整を進めた。
クアッドの会議には、岩屋毅外相、ルビオ米国務長官、オーストラリアのウォン外相、インドのジャイシャンカル外相が参加した。ルビオ氏は21日朝に就任宣誓し、約6時間後に「外交デビュー」を果たした。
会議後の共同声明では、中国を念頭に「力や威圧による現状変更を試みる一方的な行動に強く反対する」と強調。法の支配や民主的価値の重要性を指摘し、海洋安全保障や高度技術の保護、サプライチェーン(供給網)の構築で連携するなど、従来の路線を継続していくことで一致した。
岩屋氏は「トランプ政権がマルチ(多国間)の枠組みを重視していないのではないかと世上言われてきたが、私の印象ではそんなことはない。政権発足直後にクアッド外相会議を開いたことをとっても、マルチの枠組みを重視していると受け止めた」と記者団に述べた。
一方、日米外相会談では、岩屋氏は、日本製鉄によるUSスチール買収がバイデン前政権の介入で頓挫したことを念頭に「日本は5年連続で最大の対米投資国だ。対米投資への不安や懸念は払拭(ふっしょく)する努力をしてほしい」と述べ、ルビオ氏に対応を求めた。
トランプ氏の持論である外国製品への一律関税引き上げについては、双方とも言及はなかった。岩屋氏はウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とも会談した。
クアッドは第1次トランプ政権時代に事務レベルで協力強化に向けた協議が進み、閣僚級にまで格上げされた。続くバイデン政権が初の首脳会議を開き、年1回のペースで開催。政権交代と関係なく、着実に連携が進んできた。
ただ、トランプ氏は多国間協議よりも2国間交渉を好むため、就任後もクアッドの首脳レベルで定期的に会議が継続されるかは不透明だった。今回の共同声明では「インド主催の次回の首脳会議に向けた準備を行う」と明記し、こうした懸念の払拭を図った。【ワシントン秋山信一】
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