入社式にもAI 新入社員の「30年後」投影 AI社長と質疑も
新年度が始まった1日、多くの企業で入社式があった。昨年12月に人工知能(AI)基本計画が閣議決定されるなど国内でのAI振興が本格化する中、入社式でもAIを取り入れる企業が増えている。
「あなたの挑戦が会社の強みを大きくする。一緒に前に進もう」
東京都内であったローソンの入社式では、AIを搭載したマスコットキャラクターが新入社員約80人を激励した。
竹増貞信社長に関する情報をAIに学習させ、音声も本人の録音データから生成した。ローソンで使えるポイントカードのマスコットキャラクター「Ponta」の姿で竹増社長と登壇した。
新入社員から竹増社長への質問コーナーでは、同席する本人に代わって答えた。仕事で参考にする人物を問われると「徳川家康」、自身が考える会社の強みは「地域に根ざした現場主義」と回答し、理由もすらすらと説明した。竹増社長は「日ごろから考えていることを答えてくれた。どこで僕の心を見透かしたのかな」と驚いた。
ローソンは今春入社の社員の採用活動から面接官にAIを起用し、一部店舗ではモニターに投影されたアバターによる接客や配送ロボットを導入するなど、デジタル技術の活用に力を入れている。入社時からそれらに積極的に触れて業務に活用してもらおうと、今回初めて入社式にAIを登場させた。
竹増社長は「みなさんはAIネーティブで、AIと共に育ってきたと言っても過言ではない。その視点で仕事での課題解決に取り組んでほしい」と激励。式後には「ずっとAIを使ってきた彼らと、リアルの世界で仕事をしてきた僕らが合わされば、どんな世界が見えてくるか期待は大きい」と語った。
IT関連の部署へ配属される新入社員の福田謙成さん(22)は「AIの進歩を感じられる入社式だった。若さを生かしてAIへの理解を深め、会社の業務に生かしていきたい」と話した。浅井瑠唯さん(18)は「業務効率化ではAIを使いながらも、それだけに頼らず、自分も成長していけるようバランス良く使っていきたい」と意気込んだ。
損害保険ジャパンの入社式では、新入社員が決意表明で語った未来の姿をAIを使って動画に。海外を飛び回ったり、顧客と信頼関係を築いたりする様子が流れ、都内の本社で入社式に出席した396人が決意を新たにした。
新しい技術を積極的に取り入れる社の姿勢を体感してもらうのが狙いで、石川耕治社長は「データやデジタル、AIを駆使して防災、減災に努めていきたい。当たり前を疑い、高い志を持ってほしい」と呼びかけた。新入社員の矢吹恭輔さん(25)は「将来的にはヘルスケア事業に携わりながら、損害保険にとどまらない分野で活躍したい」と抱負を述べた。
都内の本社で入社式を開いた伊藤忠商事も、AIを使って新入社員約150人の30年後の姿をスクリーンに投影し、新たな門出を祝福した。
式では、現役社員の新入社員時の写真を基にAIで作成した「タイムトラベル」の映像を公開。岡藤正広会長の1980年当時の姿を作り出し、伊藤忠商事の転機となったエピソードを再現した。また海外プロジェクトに関わっている設定にした新入社員の10年後の姿のインタビューも映し出し、式を盛り上げた。【池田一生、田中韻、古川宗】
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