経産省、核のごみ処分場選定へ動き加速 南鳥島での文献調査申し入れ

2026/03/03 20:48 

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 経済産業省資源エネルギー庁は3日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定を巡り、第1段階の「文献調査」を東京都小笠原村の南鳥島で実施することを同村に申し入れた。調査が実現すれば国内で4カ所目になる。原発の再稼働が広がるなか、政府は処分場選定に向けた動きを加速させたい考え。

 3日午後、資源エネルギー庁の吉村一元エネルギー・地域政策統括調整官が父島にある小笠原村役場で渋谷正昭村長と面会し、申し入れ書を手渡した。同庁によると、3月14、15両日に小笠原諸島の父島と母島で住民説明会を開く。説明会後、住民の意向を聞いた上で渋谷村長が最終的な判断を下すとみられる。

 赤沢亮正経産相は3日の閣議後記者会見で「南鳥島は(最終処分場として)科学的特性マップで好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域とされる。地上施設を設置しうる未利用地も存在する。全島が国有地であり、長年にわたり国策にもご協力をたまわっている」などと述べ、申し入れの理由を説明した。

 政府は原発から発生する使用済み核燃料を再処理して発電に使う「核燃料サイクル」を進めており、この過程で核のごみが生まれる。放射線量が極めて高いため、ウランとプルトニウムを取り出した後の廃液をガラスと混ぜて固め、地下300メートルより深い地中に埋める「地層処分」を進める方針を示すが、処分場をどこにするかまだ決まっていない。

 最終処分場を選ぶためには3段階の調査が必要で、第1段階の文献調査が北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で2020年11月に開始。24年11月に寿都町全域と神恵内村の一部を第2段階の概要調査の候補地とする文献調査の結果を公開した。他に佐賀県玄海町で文献調査が行われているが、最終処分場の選定にはほど遠い。

 これまで最終処分場は自治体による応募や地元からの請願など「手挙げ方式」で選んできたが、広がりを欠いてきた。赤沢経産相が1月、全都道府県知事に対し、処分場の調査地点を拡大する取り組みに理解を求める文書を出していた。国が主導して自治体に文献調査の申し入れをするのは南鳥島が初めてとなる。

 政府が原発回帰を鮮明にするなか、使用済み核燃料の再処理施設は未完成で、最終処分場も決まらないまま原発政策を進めることへの批判は根強い。国主導で選定を前進させたい考えだが、初めての取り組みでもあり、どうなるかは見通しにくい。【中島昭浩、渡辺暢】

毎日新聞

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