農家要望で脂肪薄く、格付け「上」に 新「三元豚」を開発 愛知

2025/09/28 11:15 

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 3品種の豚を掛け合わせた「三元豚」の研究を進めている愛知県農業総合試験場が、デュロック種の系統豚「アイリスD2」を新たに開発した。大きなロースと発育が良い現行種の利点を維持しつつ、農家の要望を受けて脂肪の厚さを改善。豚肉の格付けアップや農家の経営改善も期待される。

 三元豚はランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種の3品種を掛け合わせて生まれた豚。愛知県はこれまでランドレース種の「アイリスL3」、大ヨークシャー種の「アイリスW3」、デュロック種の「アイリスナガラ」の系統豚を開発し、農家に供給している。アイリスは県花「カキツバタ」の英名に由来する。

 2007年開発のアイリスナガラは近親交配の繰り返しによる能力低下で更新時期を迎えたことや、農家から「脂肪を薄くしてほしい」との要望があった。これを受け、試験場は16年から新しい系統豚の開発に着手した。

 日本食肉格付協会による豚肉の格付けは「極上」「上」「中」「並」「等外」の5段階で、枝肉重量と背脂肪の厚さが主な指標になっている。試験場によると、現行種は脂肪が厚く「中」になることがあったため、「上」を得られるように改良。試験の結果、背脂肪は2・0~2・3センチから1・8~2・1センチに薄くなった。「中」と「上」では1キロあたり約30円の価格差があり、農家の収益にも大きく影響するという。

 アイリスD2は10月上旬に県畜産総合センターに移し、維持・増殖をスタート。26年秋に養豚農家への供給が始まり、出荷されるのは27年夏以降の見通しという。【式守克史】

毎日新聞

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