いすみ鉄道、24年度の最終赤字1億円超 過去最大 脱線事故が影響

2025/07/16 15:46 

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 第三セクターのいすみ鉄道(千葉県大多喜町)は2024年度決算を発表し、当期損失は1億484万円(前期損失2365万円)で過去最大の赤字となった。24年10月の脱線事故に伴う全線運休が主な要因。純資産はマイナス7013万円で、負債が資産を上回る債務超過に初めて転落し、経営状況の深刻化が鮮明になった。

 旅客運輸収入は3695万円で、台風被害で一部運休した23年度から37%減。逆に線路などの修繕費や代行バスの運行費用を含む運送費は4億6801万円(前期比28%増)に膨らんだ。売店やイベントなどの採算も悪化し、全体の営業損失は4億8602万円(同35%増)に拡大した。

 線路などインフラの維持管理費用は、県と近隣の大多喜町、いすみ市、勝浦市、御宿町が負担している。行政からの補助金は3億6172万円と前期比で29%増えたが、それでも大幅な赤字は避けられなかった。

 いすみ鉄道は、乗客の多い東側の大原-大多喜駅間(15・9キロ)で、27年秋ごろまでの運行再開を目指している。復旧費用は老朽化した枕木の交換など工事費に約10億円、代行バスに4億5000万円の計約14億5000万円を見込む。

 25、26年度は全期間の運休で24年度より厳しい決算が確実だ。いすみ鉄道の広報担当者は「債務超過は解消しなければならない。復旧後を見据えながら、少しでも収入を増やす手立てを検討したい」と話している。【高橋秀郎】

毎日新聞

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