ファミリーマートとローソンは５日、随意契約による政府備蓄米の販売を始めた。セブン―イレブンも１７日から販売をスタートする。各社は単身の消費者らも買いやすい１～２キロの少量パックを展開し、大手スーパーとの差別化も図る。大手３社で全国５万店ほどの販売網を持つコンビニで備蓄米の流通が始まったことで、政府はより消費者が手に取りやすい環境を整えたい考えだ。

　「量は決して多くはないが、全国に１キロのお米が行き渡る。コンビニは１社がやると競争原理が働き、あっという間に全国に並んで大きな効果が見込まれる」。ファミマの細見研介社長は５日、東京都港区の店舗で報道陣の取材に応じ、コンビニで備蓄米を取り扱う意義を語った。また、細見氏は以前から販売している国産の銘柄米を１０日ごろから一定期間、値下げする方針を明らかにした。

　ファミマの備蓄米は１キロ３８８円（税込み）で、東京、大阪の各１０店舗に約２０袋ずつ用意した。店舗を視察した小泉進次郎農相は、コンビニの販売の早さに驚きを示し「２週間で全国展開していくということで、面的な備蓄米の展開につながるのではないか。この動きが国産米離れを防ぐ一手につながれば」と期待を示した。

　一方、ローソンは１キロ３８９円、２キロ７５６円の販売を東京と大阪の各５店舗でスタート。東京都品川区の店舗では午前６時半ごろ、従業員が１キロと２キロの備蓄米各１０袋をレジカウンターの横に陳列した。２キロの備蓄米を購入した男性客（５８）は「１日４合食べる子どもがいるので、安くてすごく助かる。においや食感など、食べて確かめたい」と話した。別の女性客（５３）は「備蓄米が買えてとてもラッキーだった。今から会社に行くので、みんなに見せたい」と笑顔だった。

　セブンは１７日から無洗米２キロ７７５円で販売を開始する。東京、大阪、四国の店舗でスタートし、６月末までに約５０００店舗と順次、全国に拡大する。保存しやすいよう、パッケージはチャック付きにした。

　コンビニ各社は、中小のスーパーや米穀店向けの備蓄米に申請し契約を締結。２０２１年産米をファミマが１０００トン、ローソンとセブンが５００トンずつ調達していた。【佐久間一輝、鴨田玲奈】