角和夫さん、阪急・阪神の経営統合を主導 パワハラ問題では批判も
4月26日に亡くなった阪急阪神ホールディングス(HD)元会長の角和夫さんは、阪急電鉄が抱えたバブル期の「負の遺産」に区切りをつけた。さらに村上ファンドに株式を大量取得された阪神電気鉄道との経営統合を決断し、約20年にわたってグループを先導した。
角さんが社長に就任したのは2003年。そのころの阪急電鉄はバブル期の不動産投資の失敗に苦しみ、03年3月期の連結最終(当期)損益は893億円の赤字に陥った。社長就任前に経理を担当して財務状況を把握していた角さんは、巨額の特別損失を計上してバブル期の「負の遺産」を処理し、問題に区切りをつけた。
角さんの姿が大きくクローズアップされたのは06年、阪神電鉄との経営統合を決断した時だ。当時、阪神電鉄は村上世彰氏が率いる村上ファンドに45%以上の株式を取得されていた。阪急にとって阪神は、同じ大阪・梅田を拠点に鉄道や百貨店で競い合ってきた長年のライバル企業だった。
しかし、角さんは「両社は阪神間で電車を走らせているが、海側は阪神、山側は阪急ですみ分けている。統合すればコスト削減効果もあり、鉄道と不動産事業の一体経営で、魅力ある沿線づくりができる」と判断。阪神側の「ホワイトナイト(敵対的買収を阻む友好的買収者)」として名乗りを上げ、戦後初となる大手私鉄同士の経営統合を主導した。
阪急阪神HDの初代社長に就いた角さんは、阪急大阪梅田駅周辺の再開発などを通じてグループの収益力を高め、17年に会長に就任した。
阪急電鉄が運営する宝塚歌劇団にも深く関わり、ペンネームで曲を提供したこともあった。だが、23年に歌劇団の劇団員が上級生によるパワーハラスメントや過重労働の末に死亡する問題が発生。阪急電鉄とHDは厳しい批判を浴び、角さんも宝塚音楽学校の理事長辞任に追い込まれた。24年12月には「健康上の理由」で、HDの会長を退任した。
関西経済連合会副会長を11年から務め、関西財界を代表する経営者の一人としても知られた。特に観光による経済振興の必要性を早くから訴えた。関経連の松本正義会長(住友電気工業会長)は「大阪・関西万博の推進担当として、万博の成功に向けて活躍してもらった。関西の発展に重要な足跡を残され、いよいよこれからという時に残念でならない」とコメントした。【小坂剛志】
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