iPhone生産拠点、中国からインドに移管へ トランプ関税に対応

2025/04/26 09:50 

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 アップルが米国で販売する年約6000万台の「iPhone(アイフォーン)」の全てを2026年末までにインドで組み立てる方針だと、25日までに欧米メディアが相次いで報じた。トランプ米政権が計145%と異常な高関税を課す中国から生産拠点を移管する。「トランプ関税」が、アップルの国際的な供給網の抜本的な変更を迫る形だ。

 米ブルームバーグ通信によると、この計画を実現するにはアップルはインドでのアイフォーン生産台数を現在の2倍の年8000万台以上に引き上げる必要がある。米中対立の激化や高関税発動を受け、既にインドでの生産を増やしているが、これまで以上のスピードで生産移管を進める必要に迫られる。

 トランプ政権は中国に125%の「相互関税」と合成麻薬の流入対策の不備を理由にした20%の制裁関税を発動済み。スマートフォンは相互関税の対象から外したが、それでも中国から米国に輸入するには20%の制裁関税が適用される。

 トランプ政権は、スマホには相互関税の代わりに全ての国に適用される品目別の新たな関税を発動する予定。ただ、インドからの輸入であれば、中国からの輸入と異なり、この新関税のみで済む可能性が高い。

 トランプ政権は関税引き上げで、アジアなど海外に設けられた生産拠点を米国に移転させる考えを強調している。だが、米国で生産するとなれば高い人件費などで販売価格が跳ね上がる恐れがあり、市場では「アイフォーンが米国で組み立てられる可能性は極めて低い」(証券アナリスト)との見方が多い。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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