WBC、ベネズエラに見た「機動破壊」 「因縁」米国との決勝へ
かつて甲子園で見られた「機動破壊」を思わせる攻撃が、米マイアミの地で展開された。ベネズエラが機動力を生かした攻撃で「アズーリ」ことイタリア代表を降し、初のWBC決勝にたどりついた。
長打力のみならず俊足が持ち味のアクーニャ(ブレーブス)がキーマンだった。1点を追う七回2死一、三塁。遊撃深くにゴロを打った。2死で走者のスタートは早い。相手の遊撃手はアクーニャをアウトにしようと一塁に送球したが、ぎりぎりセーフで内野安打となり、三塁走者が生還した。
続くガルシア(ロイヤルズ)の適時打で勝ち越し、なお一、三塁。ここで三塁走者のアクーニャが動いた。通常では見られないような大きなリードを取り、まるでラテンダンスのような動きで相手投手に重圧をかけた。すると、甘くなったボールをアラエス(ジャイアンツ)が中前適時打。アクーニャが生還し、決定的な1点を追加した。
高校野球の強豪・健大高崎(群馬)が走力を前面に押し出していたころに掲げた「機動破壊」。エンドランや盗塁を多用し、三塁走者が大きなリードで揺さぶる。ベネズエラが展開する渋い攻撃に重なる部分が大きい。
イタリアのセルベリ監督も「相手は全員、走ることでプレッシャーをかけてきていた。ベネズエラをたたえるしかない」と、ラテン系「機動破壊」の威力を振り返った。
これでベネズエラは米国との決勝を迎える。米国は1月、ベネズエラのマドゥロ大統領を、違法な薬物の密輸に関与したとして、他国の国家元首でありながら拘束し、裁判にかけるという異例の事態になっている。
アクーニャは試合後の記者会見で「多くのベネズエラ人にとって、この大会は母国で起きている深刻な問題からの気晴らしになっているが」との質問に対し、「自分たちは野球の話をするためにここにいる」と答え、明言を避けた。だが、両国による頂上決戦は野球以外の面からも注目の一戦となるのは間違いない。【マイアミ岸本悠】
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