◇大相撲九州場所５日目（１３日・福岡国際センター）

　◇○義ノ富士　寄り切り　正代●

　今場所、しこ名を「草野」から変えた義ノ富士が、同じ熊本県宇土市出身で大関経験者の正代を破った。４勝目を１０歳上の先輩から挙げ「素直にうれしい」と喜びに浸った。

　「重かったです。一発で持っていかれました」。立ち合いで義ノ富士は勢いよく当たったが、相手はびくともしなかった。正代が前に出てくると、義ノ富士は後退し左足が俵にかかった。

　想像よりも早い仕掛けに驚いたという義ノ富士だが、左足で圧力を食い止めた。正代のまわしを左手でつかむと、体をひねって体勢を入れ替え、最後は丁寧に寄り切った。

　正代とは初対戦で、出稽古（でげいこ）でも手を合わせた経験はないという。取組が発表された１２日に義ノ富士は「少し緊張しています」と背筋を伸ばしながら初々しく心境を明かした。それでも取組前には「対戦相手なので、意識せずに」と勝負に集中していた。

　九州場所は熊本出身力士にとってはご当所。熱戦に盛り上がった場内に、義ノ富士は「ここで対戦するのは不思議な感覚。見ている方には楽しんでいただけたかなと」。

　そう話した後、「自分が得意な前に出る相撲をしたい。今日のように足が（俵に）かかると危ないので」。先輩との一番で学んだことを先につなげる。【林大樹】