幼少期の栄養が寿命左右 「腹八分目」裏付け? 理研、ハエ研究

2026/09/24 00:00 

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 幼少期の食生活を節制することで寿命を延ばす働きを持ったたんぱく質を、ショウジョウバエを使った実験で世界で初めて特定したと、理化学研究所のチームが23日付の英科学誌ネイチャーに発表した。「腹八分に医者いらず」ということわざを裏付ける成果になるという。

 食環境と寿命の関係を巡っては、米コーネル大の研究者が1935年、ラットに与える餌の量を栄養欠乏にならない程度に抑えると寿命が延びたと発表した。それ以来、さまざまな動物で実験が行われ、特に発達・成長段階の適切な摂取に延命効果があると報告されてきた。しかし、一時期の栄養環境の違いが寿命にまで影響を及ぼす仕組みは長年の謎となってきた。

 理研の小幡史明チームディレクター(分子生物学)らは、寿命が短く成長過程を調べやすいハエを使って実験。生後3~4日の幼虫期にのみ餌の量を制限した上で羽化後は通常の餌を与えた。すると食餌制限がなかった個体に比べて、寿命は性別を問わず2割程度延び、オスで約50~60日、メスで約50~70日になった。

 また、幼虫期に摂取した餌がその後、体内でどう振る舞っているかを追跡できる手法を開発。その結果、アミノ酸がたんぱく質「Lsp2」の働きによって細胞内の構造物「リボソーム」に蓄えられていくことを突き止めた。さらに幼虫期の栄養制限や遺伝子操作でLsp2の働きを抑えると、リボソームを含め体内にさまざまな変化が起き、平均寿命が約2割延伸。Lsp2が寿命の制御役になっていると結論づけた。

 一方、食餌制限したハエの成虫は大きさが約1割小さくなり、メスでは産卵数が約3割減る影響があった。ただ、Lsp2の働かないハエでこの現象は確認されず、Lsp2は成長や生殖とは無関係であることも示された。

 小幡さんは「人間で同じ現象が起こるかは現時点では不明であり、特定の食品の摂取を推奨するものではない」と強調。その上で「Lsp2に似た働きをするたんぱく質の存在は人間で確認されている。健康維持に資する食事方法を提案できるよう研究を発展させていきたい」と話す。【田中泰義】

毎日新聞

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