「昭和が遠く」 長崎の被爆者ら、核廃絶訴えた美輪明宏さん悼む
20日に死去した歌手で俳優の美輪明宏さんは、10歳の時に長崎市で被爆。毎日新聞の取材では被爆証言に応じるとともに、核兵器廃絶の必要性を訴えてきた。長崎の被爆者からは悼む声が聞かれた。
原爆投下時、美輪さんは爆心地から約4キロ離れた長崎市本石灰(もとしっくい)町の自宅にいた。
「外へ出たら、ああ、もう、地獄でしたね。全身、全身ですよ、すれ違う人々は全身やけどでね。着ているものはみんな焼け焦げてボロボロの裸んぼう。髪の毛は一瞬にして焼けたんですね」。2024年12月の紙面に掲載したインタビューでは、自らが目の当たりにした状況を振り返り、「核廃絶は被爆者からすれば当然の願い。世界が認める必要がある」と強調。21年には、同年発効した核兵器禁止条約に署名・批准しない日本政府に対し、「締約国会議などに参加することは唯一の被爆国として当然」と発言していた。
訃報を受け、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(85)は、美輪さんがまだ無名だったころに舞台に立っている姿を見たエピソードを明かしながら、「芸能界では政治的にものを言う人が少ない中、尊敬する一人。惜しい人が亡くなった。昭和が遠くなったと感じる」と悼んだ。
長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(83)は「芸能界で非常に有名な美輪さんが被爆者だということは国民に広く知られ、彼の言葉は戦争を経験していない若い人にも影響を与えたと思う」としのんだ。日雇い労働する母親の姿を歌った代表曲「ヨイトマケの唄」にも触れ「曲を聞く度、被爆者が日雇い労働をしていた原爆復興期を思い出す。美輪さん自身も復興の苦しい時期があったというのを歌にされたのではないか」と思いをはせた。【尾形有菜、栗栖由喜】
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