<星空と宇宙>「月面X」を見つけよう 6月22日午後7時ごろに出現
「月面X」という言葉を聞いたことはありますか。
上弦の月が見られる頃、明暗の境の南側に「X」の文字のような地形が小さく見えることがあります。これを天文ファンが「月面X」と呼んでいます。
観察できる時間はわずか2時間ほど。月が出ていない時刻に当たることもあり、同じ場所からでは年に数回しか見られません。
次に観察できるのは、6月22日午後7時ごろ。東京では日没直後、西日本では日没直前となります。午後8時ごろにかけて見られるので、少し暗くなってからの方が観望に向きそうです。
写真で確認すると、三つのクレーターが隣接している地形の高まりがXに見える部分だと分かります。対角の長さが65キロほどあり、この場所が日の出を迎え、太陽が低空から照らすことで、Xのような形に地球から見えるのです。
カナダのアマチュア天文家、チャップマン氏が2004年、近くのクレーターの名をとって「ヴェルナーX」と呼んで公表しました。それがきっかけとなり、海外の天文愛好家の間で広まりました。
日本では09年、当時横浜こども科学館の天文指導員だった山田陽志郎さんが「月面X」という名で、ウェブサイトに予報を公表しました。「初心者向けの天体望遠鏡でも見ることができ、子供から大人まで楽しめる現象だ」と実際に観測して感じたそうです。
その後、天文雑誌やSNSなどで広まり、天文ファンの間で認知度が上がっていきました。
観測は望遠鏡で20倍以上に拡大して見るのがおすすめです。月全体が見えるくらいの倍率でも、「X」のような形が見えてきます。
一般的な望遠レンズでも、デジタルカメラのライブビュー機能などで画像を拡大すると、見えるかもしれません。時間をかけて観察していくと、次第にXの形が不明瞭になっていく様子もわかります。
地形は変化しないにもかかわらず、月の「X」は最近まで注目されませんでした。チャップマン氏や山田さんの知的な好奇心が「月面X」を世界に広めたのです。
他にも「月面LOVE」や「月面ス」など、話題にのぼる月の地形があります。月面Xの今後の予報は、山田さんが自身のX(ツイッター)やウェブサイトで公開している他、岡山県倉敷市の倉敷科学センターでもWEBサイトで公開しています。
山田さんは「日常の生活からちょっと離れて、天体を楽しみ、癒やされる時間をずっと持ち続けてほしい」と語ります。
かつての人たちが満月の模様をウサギに見立てたように、望遠鏡によって新たに「発見」された月の模様を探してみてはいかがでしょうか。【手塚耕一郎】
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