国内最大の大学研究炉が運転終了へ がん治療研究など活用 京大

2026/04/09 21:57 

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 大学の研究炉で国内最大の出力を持つ京都大複合原子力科学研究所(大阪府熊取町)の研究用原子炉「KUR」(熱出力5000キロワット)が23日、運転を終える。中性子を発生させる優れた原子炉として、ピンポイントにがん細胞を破壊する治療法の研究など幅広い分野で活用されたが、米国による使用済み核燃料の引き取り期限や施設の老朽化などから停止することが決まっていた。使用済み核燃料は2029年までに搬出し、廃炉作業に入る。

 KURは1964年、研究所の旧名である京大原子炉実験所で運転を始め、物理学や化学、生物学などさまざまな分野の研究で使われた。顕著な成果では、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」での臨床研究がある。中性子を吸収しやすいホウ素をがん細胞に取り込ませたうえで、低エネルギーの中性子を照射して選択的に破壊する手法で、国内の医療機関で保険診療も行われている。

 また、研究所内にあるもう1基の原子炉である臨界集合体実験装置「KUCA」(熱出力100ワット)は主に原子炉物理学の実験研究や原子力の人材育成の場として存続するという。

 黒崎健研究所長は「これまで研究所はKURの存在に頼っていた面があるが、運転停止は一種の転換点。研究所として今後は研究者個人の研究力を上げていく努力を重ねていきたい」と話している。【大島秀利】

毎日新聞

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