「30年に1度」の少雨 九州北部で水不足深刻 夜間断水の可能性も

2026/02/14 20:06 

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 昨秋から続く記録的な少雨の影響で、東日本から西日本にかけて水不足が深刻化している。

 中でも九州北部の重要な水源である筑後川水系のダム貯水量の落ち込みが顕著で、福岡都市圏では減圧給水が続くほか、入浴施設が休業するなど市民生活に影響が出始めた。

 このまま少雨が続けば一部地域では夜間断水を実施する可能性もあり、地元自治体などが節水を呼びかけている。

 ◇主要6ダムの貯水率15・1%

 「市民生活や社会経済活動への影響を最小限とするため、渇水対策の一層の強化が必要だ」。13日に福岡市内で開かれた福岡、佐賀両県などでつくる筑後川水系渇水調整連絡会。国土交通省九州地方整備局の垣下禎裕局長は集まった自治体関係者を前に危機感をあらわにし、対策を呼びかけた。

 福岡、佐賀、熊本、大分の4県にまたがり、福岡都市圏などへの水の供給源となっている筑後川水系では、江川ダム(福岡県朝倉市)や寺内ダム(同)など主要6ダム全体の貯水率が15・1%(13日時点)と約1カ月前から半減。前年同時期(74・9%)の5分の1に落ち込んでいる。

 ◇「平成の大渇水」時と同水準

 こうした事態を受け、福岡地区▽福岡県南広域▽佐賀東部――の各水道企業団は1月中旬から取水制限を開始。福岡地区水道企業団は今月14日、制限率を30%から55%に引き上げた。1994年の「平成の大渇水」時と同水準となる。

 また、福岡県大野城市や福岡市など9市町は順次、水道の給水圧力を下げて水の出る量を減らす減圧給水を始め、13日には古賀市や粕屋町など県内5市町も追随した。

 多目的ダムとして整備された小石原川ダム(朝倉市)では2021年の運用開始後、初めて渇水対策のために確保した容量を活用することになった。

 福岡県筑紫野市や同県太宰府市などは、今後まとまった降雨がなければ夜間断水に踏み切る可能性があるとホームページで公表。また、佐賀県でも県民生活や経済活動に影響が出る恐れがあるとして自治体が節水を呼びかけている。

 福岡県志免町の福祉施設「シーメイト」では、町内外の住民が有料で利用できる浴場を9日から休業している。節水のための当面の措置といい、施設の担当者は「入浴を楽しみにしている住民の方には申し訳ないが、苦渋の判断だ」と話す。

 自治体も手をこまねいているわけではない。政令市で唯一、1級河川のない福岡市は、過去の水不足の教訓を踏まえて05年に「海水淡水化センター」(福岡市東区)を開設。海水を淡水処理して真水として供給する施設で、今回の渇水を受けて1日の生産量を通常の1・5倍に当たる3万トンに増やした。

 ◇なぜ雨が降らないのか

 水不足の背景にあるのは記録的な少雨だ。

 気象庁などによると、東日本の太平洋側や西日本の広い範囲で「30年に1度」の少雨となっており、1月の降水量は宮崎市や大分市など各地で0・0ミリだった。筑後川流域では25年9月以降の月間降水量が5カ月連続で平年を下回った。26年1月までの4カ月間の降水量は平年の36%で、75年以降最少となった。

 なぜ雨が降らないのか。福岡管区気象台によると、昨秋は高気圧の張り出しが強まった影響で、九州北部に接近した台風は2個(平年は3・8個)にとどまり、まとまった雨につながらなかった。12月にかけても低気圧や前線の影響を受けにくい気象状況が続いた。

 さらに今年1月にはフィリピン東海上の海水温が上がる「ラニーニャ現象」に近い状態になり、九州に雨や雪をもたらす「南岸低気圧」が発達しにくかったとみられる。大陸からの北西の季節風も強く、低気圧の北上が妨げられたという。

 九州では向こう1カ月も低気圧や前線の影響を受けにくく、降水量は平年並みか少なくなる見込みだ。

 福岡市では94年の大渇水の際、295日にわたって給水制限が続いた。九州地方整備局の担当者は「給水制限をできる限り回避するには早めの対応が肝心だ。一人一人の節水の取り組みが大事なので協力をお願いしたい」と話す。【山崎あずさ、平川昌範】

毎日新聞

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