クマ出没で運動不足や精神的負担? 秋田大、住民の心身影響を調査へ
全国でクマの目撃・出没件数が相次ぎ、運動不足や精神的不安定に陥っている住民が増えているとして、秋田大高齢者医療先端研究センターの研究チームが実態調査に乗り出す。クマ被害と筋力などの低下「フレイル(虚弱)」を防ぐのが狙いだ。雪解け後にクマの活動が活発化することが懸念されており、人的被害が出た各地の医療機関に協力を求めていく。
チームによると、クマの出没が急増した2025年秋以降、通院患者の約1割が診察時に「物音がするだけで眠れなくなる」「好きな散歩ができない」などと心身の不調を訴えてきた。クマに襲われた人では、外出への恐怖心からひきこもり状態が続いているという。
また、血糖状態を評価する「HbA1c」は毎年積雪後に運動不足となるため上昇する傾向があるが、25年度はクマの出没が相次ぐようになった秋に早まった。
外出控えなど社会活動の低下は、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言時も発生した。チームが秋田県横手市で実施した調査では約27%の高齢者が外出を控え、うつ状態が強まったことを確認した。
フレイルは認知症リスクを高めることも近年の研究で分かっている。
こうした状況を踏まえ、今回の調査では、年齢や家族構成、生活習慣、認知・身体機能など十数項目を検討し、クマの出没頻度が心身にどう影響するかを分析する。
環境省によると、25年4~12月のクマの出没件数は全国で4万9226件(速報値)と過去最多を記録した。都道府県別では秋田の1万3483件、岩手9542件などとなっている。
チームを率いる大田秀隆センター長は「状況はコロナ禍と似ているのではないか」との認識を示した上で、「人口減が加速し孤立感を強める高齢者が増えている。朝夕の外出や単独行動を控えるなどクマ被害防止策を前提に、運動やコミュニケーションの場を提供することが欠かせない。今後もクマ出没が続くとみられるだけに、早急に実態解明と効果的な対策を提言したい」と話している。【田中泰義、寺町六花】
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