外国人労働者、上限123万人の政府案 特定技能と育成就労の19分野
在留資格「特定技能1号」と2027年4月から始まる新資格「育成就労」について、政府は23日、28年度までに両制度で計約123万人を外国人労働者の受け入れ上限とした運用方針を明らかにした。介護や建設など人手不足が深刻な19分野が対象で、業界の現状や将来見通しから試算した。育成就労を含んだ上限数が明らかになるのは初めて。出入国在留管理庁で開かれた有識者会議で示された。
19年に始まった特定技能1号は上限数を82万人としてきたが、80万5700人に初めて下方修正した。外国人技能実習に代わる育成就労は17分野で42万6200人と、6月末時点の実習生数より約2万3000人少ない人数を上限とした。政府は26年1月の閣議決定を目指している。
育成就労は未熟練の外国人労働者を受け入れ、原則3年間の在留期間で技能を即戦力レベルの水準に引き上げる。特定技能は1号と2号があり、即戦力の人材と位置づけられる1号は在留期間が5年。さらに熟練した技能が必要となる2号では、家族帯同の無期限就労が可能になる。
技能や日本語能力の試験をクリアすれば、育成就労から特定技能1号に移行が可能。受け入れ分野は両制度でおおむね共通し、政府は一体的な運用を目指している。
特定技能1号は、28年度までの上限数が16分野で82万人だった。今回は新たに加わる3分野を合わせた19分野で試算。IT技術やロボットを活用した生産性の向上などの要素を反映した結果、分野数が増えたのにもかかわらず従来上限を下回った。
育成就労の上限数も同様の手法で試算した。実習生の失踪などの問題が指摘されてきた技能実習制度は27年4月に廃止される。経過措置で一定数の実習生はその後も日本に残るとみられるが、育成就労への移行は原則認められず、徐々に減っていくことが見込まれる。
特定技能1号は約33万人(6月末時点)と従来の上限からも乖離(かいり)している。2号は約3000人(同)にとどまる。政府関係者は「123万人という数字はあくまで上限で、外国人労働者が急増することは想定していない」としている。【巽賢司】
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