上皇后美智子さまが91歳に 最近の愛読書「シリアの秘密の図書館」

2025/10/20 00:00 

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 上皇后美智子さまは20日、91歳の誕生日を迎えられた。上皇さま(91)とご自身の体調に向き合いつつ、新聞やテレビニュースなどを通じて社会の出来事に関心を寄せている。戦後80年の今年は硫黄島、沖縄、広島、長崎を訪ねた天皇、皇后両陛下の戦没者慰霊を見守り、平成のころに上皇さまと続けた「慰霊の旅」を思い起こし、お二人で語り合う日もたびたびあった。

 宮内庁によると、年齢とともに疲れやすくなり、体力の低下がみられるものの、上皇さまと穏やかに過ごす日々に心の安らぎを覚えている様子という。昨年10月に右大腿(だいたい)骨上部を骨折したが、上皇さまを支えたいとの強い気持ちでリハビリに励み、ほぼ骨折前の状態にまで回復。今年に入り、上皇さまが5月と7月に東京大病院に入院した際は連日病院に見舞った。

 ご夫妻で2月にスイセンの咲く東京都立葛西臨海公園に出かけ、4月には霞会館記念学習院ミュージアムの特別展を見学した。この一年、見舞いや宮内庁病院への通院を除けば外出機会は少なかったが、元日の能登半島地震・奥能登豪雨犠牲者追悼式のテレビ中継を見ながら参列者と同じように黙とうしたり、住まいの仙洞御所に届く手紙を読んだり、社会とのつながりを大切にしている。

 美智子さまは読書の時間も大事にし、新聞記事で紹介された本を気に留めて取り寄せる場合もある。最近の愛読書は、内戦下のシリアでがれきの中から市民が本を集めた実話に基づく絵本「シリアの秘密の図書館」(ワファー・タルノーフスカ作、原田勝訳)。日常を破壊された人々が本に希望を見いだしていく内容。日課として続ける上皇さまとの音読は現在、「いちにち、古典」(田中貴子著)を読んでいる。

 今年1月、昭和と平成に詠んだ未発表の短歌を収めた歌集「ゆふすげ」を出版した。側近によると、美智子さまは歌の公表に遠慮気味だったが、宮内庁御用掛で歌の相談役を務める永田和宏さんの強いすすめで実現。ベストセラーになった。【山田奈緒】

毎日新聞

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