ED治療薬、国内初の市販化へ 薬剤師による対面販売

2025/09/18 18:38 

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 厚生労働省の専門部会は18日、勃起不全(ED)治療薬「シアリス」(一般名・タダラフィル)について、医師の処方箋なしで薬局で購入できる市販化を了承した。薬剤師による対面販売が必要な「要指導医薬品」に指定され、厚労相が承認する見通し。ED治療薬の市販化は国内初となる。

 エスエス製薬(東京都)が市販薬としての製造販売の承認を申請していた。同成分の医療用医薬品の添付文書などによると、性行為に十分な勃起とその維持ができない症状のある男性が対象。通常は成人が性行為の約1時間前に1錠(10ミリグラム)服用する。他の薬と「併用禁忌」があり、心血管障害などがある人は使えない。中枢神経には作用せず、催淫(さいいん)剤または性欲増進剤ではない。

 市販化にあたっては、EDの症状がある男性本人のみが購入できる。年齢が確認できる身分証を提示し、症状の有無、内服薬や禁忌疾患の有無などの確認がある。当面はオンライン購入できない。薬局には近隣の医療機関との連携を求める。

 ED治療の第1選択薬の一つとされるが、海外で市販化されたのは英国など一部に限られる。国内では2022年4月から、男性不妊の治療目的で要件を満たした処方のみ保険適用となっている。

 心理的・金銭的負担から未治療のED患者が多いとみられることや、個人輸入の偽造品が横行するなどの問題があり、市販化が求められていた。日本性機能学会が国内の20~70代を対象に実施した23年の調査では、ED患者は1400万人で約3人に1人と推定される。羞恥心などを理由に約8割は未受診という。14年度の厚生労働科学研究の報告によると、個人輸入代行サイトで販売されていたタダラフィルの約7割が模造品で健康被害も出ていた。【中村好見】

毎日新聞

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