幹部が再三、票固め状況を確認か パチンコ会社の参院選巡る買収事件

2025/08/27 20:19 

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 7月の参院選を巡り、自民党公認候補への投票の見返りにパチンコ店運営会社が従業員に報酬を約束したとされる買収事件で、公職選挙法違反(買収約束)の疑いで逮捕された「デルパラ」(東京都港区)社長の山本昌範容疑者(50)ら同社幹部が、選挙期間中などに傘下店舗の店長から投票状況の報告を複数回受けていたことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁などの合同捜査本部は、票固めの状況を幹部が再三確認していたとみている。

 また、同社幹部が店長に対し、残業代名目で報酬を支払うことを記したメモなどを送付したことも判明。傘下の全31店舗の従業員ら250人以上が投票に応じたとみられる。

 他に逮捕されたのは、営業本部長の湯浅一行(46)=千葉県市川市=と管理本部長の小西悌之(ともゆき)(44)=鳥取県米子市=の両容疑者ら幹部5人。

 公認候補は、パチンコ業界の組織内候補として比例代表に立候補し、落選した「全日本遊技事業協同組合連合会」理事長、阿部恭久氏(66)。

 捜査関係者によると、山本社長は阿部氏を「グループとして支持する」との方針で、期日前投票を従業員らに呼びかけるよう湯浅、小西の両本部長に指示したとされる。報酬の金額は3人で決めたといい、選挙違反を主導したとみられる。

 両本部長は公示前日の7月2日と3日、オンライン会議で全国の店長に対し、候補者名を記入した投票用紙の写真を従業員に撮影させるよう指示した。

 さらに両本部長は会議後、投票した従業員らに残業代名目で報酬を支払うなどの会議内容を記したメモのデータと、阿部氏を紹介する動画を無料通信アプリ「LINE(ライン)」で店長に送った。

 店長らは、朝礼や夜間のシフトとの交代時の「夕礼」、ラインのグループチャットなどで従業員への指示を浸透させていたとされる。店長による投票状況の集約と報告は、選挙期間中や同20日の投開票後の複数回に及んでいたという。

 6容疑者は店長に指示し、1都6県にある17店舗の従業員ら60人に阿部氏への投票に対する報酬として、現金3000円または4000円を支払うと約束したとして逮捕された。6人の認否を明らかにしていない。デルパラは取材に対し、「担当者が不在でコメントできない」とした。【山本康介、長屋美乃里】

毎日新聞

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