兵庫・加古川中2自殺訴訟で和解成立 市側「いじめ気付けず」と謝罪

2025/06/25 17:54 

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 兵庫県加古川市立中学2年の女子生徒(当時14歳)が2016年、いじめを苦に自殺したのは学校が適切な対応を怠ったからだとして、両親らが市に損害賠償を求めた訴訟は25日、神戸地裁姫路支部で和解が成立した。市がいじめに気付けなかったと認めて謝罪し、解決金300万円を支払う内容となった。

 女子生徒は中学1年の時から部活動やクラスでいじめを受け、2年となった16年9月に命を絶った。市の第三者委員会は女子生徒がアンケートで「無視される」などと回答していたにもかかわらず、学校側は対応しなかったと指摘。両親らが20年に提訴していた。

 市側が対応の不備を認めた和解条項によると、部活動の顧問らはグループ間のトラブルと判断し、いじめが続いたことに気付けなかった。この際、部内でのいじめについて部員に書かせたメモを廃棄していた。

 1年時の生活ノートや2年時のアンケート結果を踏まえると、女子生徒を支援する必要があったことから、「教職員らが積極的に話を聞くなどしていれば、いじめを認識できた可能性があった」とした。

 そのうえで、「市教委や学校の対応が両親らの心情を深く傷つけたことをおわびする」と謝罪。和解条項には再発防止策も盛り込み、いじめ防止への取り組み状況について、今後3年間は書面で両親らに報告することを約束した。

 和解成立を受け、両親は「娘の自死を防ぐことができたのではないかという思いはますます強くなっている。教育委員会は子供を守る組織であってほしい」とのコメントを出した。【村元展也】

 ◇相談窓口

・24時間子供SOSダイヤル

 いじめやその他の悩みについて、子どもや保護者などからの相談を受け付けています。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。

 0120・0・78310=年中無休、24時間。

・子どもの人権110番

 「いじめに遭っている」「家の人に嫌なことをされる」など、先生や親には話しにくい相談に法務局の職員や人権擁護委員が応じます。

 0120・007・110=平日の午前8時半~午後5時15分

・まもろうよ こころ

 さまざまな悩みについて、LINEやチャットで相談を受けている団体を紹介する厚生労働省のサイトです。年齢や性別を問わず、自分に合った団体を探せます。

・こころの悩みSOS

 悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。

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