お粗末「張りぼて」トンネル、新たに厚み不足の施工不良 和歌山

2025/05/25 06:15 

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 和歌山県の那智勝浦町と串本町を結ぶ八郎山トンネル(全長711メートル)の工事で内壁のコンクリートの厚みが足りない施工不良があった問題で、県は23日、道路地下のインバートコンクリート中央部分でも厚みが最大約5センチ足りないことが分かったと発表した。内壁をはがし、トンネルを支えるアーチ状の鋼材(支保工)を撤去して再設置する工事は完了したが、今後は一部で地盤を堀り足すなどインバートコンクリートの再設置が必要となったという。当初2023年12月予定だった供用開始はさらに遅れ、26年度の冬になる見込みとなった。

 23日に工法などを審議する専門家による検討委員会の第6回会議が串本町内で開かれ、その後の会見で明らかになった。今年2月ごろからインバートコンクリートの厚みを全体の約6割の中央部分で調査したところ、そのうちの4割程度で厚み不足が見つかった。国などの定める技術基準によると45センチの厚みが必要だが、最大5センチ程度不足していたという。前回までの調査で端部分の厚み部分が足りないと分かっていたが、中央部分まで薄いことが新たに判明した。厚み不足による法的な罰則はないが、県は不足部分について建設業者に設置し直させるという。

 会見で、福本仁志・県県土整備部長は「結果的にさらに開通が遅れ、申し訳なく思っている。工事を安全に進めている面があるのでご理解をいただきたい」と話した。【加藤敦久】

毎日新聞

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