東京都、水道基本料金の無償化検討 猛暑と物価高対策で今夏

2025/05/20 05:00 

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 東京都が今夏の数カ月間、猛暑対策として都水道局の供給地域にある一般家庭について水道基本料金の無償化を検討していることが19日、都幹部などへの取材で判明した。同局が供給しない多摩地域3市1村と島しょ部についても都の負担で同様の措置を取ることを想定している。

 都幹部によると、昨夏、都内の熱中症による搬送者は過去最多を記録。今年も猛暑の恐れがあるほか物価高騰も重なっているため、水道料金負担を軽減することで都民の冷房使用を促す案が浮上したという。使った分の「従量料金」は減免しない。

 都内には約772万世帯(4月1日時点)あり、一般家庭向けの1カ月の基本料金は860~1460円(税別)程度。減免に必要な財源は今後検討する。

 水道事業は基礎自治体や広域事務組合が担うことが多い。新型コロナウイルスの流行や物価高騰に伴い市町などで料金を一部減免した例はあるが、都道府県単位での減免は珍しい。

 都庁では19日、自民党、公明党、都民ファーストの会の各会派が小池百合子知事に暑さ対策として一般家庭向けの水道基本料金の無償化を申し入れた。6月の都議選や直後の参院選を控えて各会派と小池氏の方向性が一致した模様だ。

 東京都は税収が好調に推移していることを背景に、高校授業料や保育料、公立小中学校の給食費の実質無償化でも先行しており、周辺県が格差を問題視した経緯がある。今回も格差拡大を懸念する声が上がる可能性がある。【柳澤一男】

毎日新聞

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