千葉の投票率、なぜ低い? 参院選1都3県でビリ 県内で格差も

2025/07/17 06:30 

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 過去最多の16人が立候補した今回の参院選千葉選挙区(20日投開票)で注目されるのが投票率だ。千葉県の参院選投票率はこれまで全国平均を上回ったことがなく、1都3県ではだいたいビリだ。なぜ千葉の投票率は上がらないのか。背景を探った。

 2022年の前回参院選で、千葉県の投票率は50・01%。全国平均の52・05%を下回り、都道府県別では28位だった。

 1都3県で比較すると、全国3位の東京都56・55%、12位の神奈川県54・51%、27位の埼玉県50・25%よりも低い。過去6回の選挙を調べると、16年はわずかに埼玉県を上回ったものの、それ以外では最も低かった。

 投票行動に詳しい淑徳大の矢尾板俊平教授(総合政策学)は、千葉県が1都3県の中でも伝統的に保守色が強かったことが影響していると考える。

 参院選の千葉選挙区はこれまで改選3議席のうち2議席を自民党が占め、残り1議席は立憲民主党(前身の民主党、民進党を含む)という構図が続いていた。そのため「誰が当選するかほぼ決まってしまっているので、『選挙に行かなくて良いかな』と思う人が多かったのではないか」とみる。

 ◇県内でも格差

 千葉県内の市区町村別にみると、投票率に差がある。22年参院選で最下位は野田市の42・73%。香取市42・75%、旭市43・79%など、県庁から離れた地域が低かった。

 野田市の担当者は「なぜ投票率が低いのかわからない」とこぼす。しかし、年金生活を送る地元の男性(76)は「隣の柏市や流山市には候補者が演説に来るけど、わざわざ野田市まで来ない。候補者の訴えを生で聞かないから、投票に行く意義が見いだせない」と話す。

 一方、22年参院選のトップは千葉市美浜区の58・06%。習志野市55・71%や流山市55・30%など都内に通勤通学する「千葉都民」が多い自治体が上位に名を連ねた。

 矢尾板教授は、都市部では「スマートな無党派層」が多くなり、「政治的感度」の高さから投票率が高くなると解説する。

 ◇今回は「大海賊時代選挙」

 それでは、今回の参院選はどうか。投票日は3連休の中日のため、投票率の低下が懸念されている。

 県選管によると、期日前投票は好調だ。公示翌日の4日から13日までの10日間で、千葉選挙区では44万6352人が投票を終えた。前回22年の最初の11日間と比べて4割多い。

 矢尾板教授は、新興政党が相次ぎ候補者を出した今回の参院選を人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」に例えて、「大海賊時代選挙」と表現する。「いろいろな政党が出て面白いと思う人が増えれば投票率は上がるのでは」と話した。

 投票率の向上に向けて、県選管はスポーツイベントや駅前で投票を呼びかけるチラシやポケットティッシュを配っている。担当者は「投票日が連休の中日なので、予定がある人は期日前投票を積極的に利用してほしい」と話す。

 果たして千葉の投票率はどうなるか。結果は20日以降に分かる。【中村聡也】

毎日新聞

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