選択的夫婦別姓、今国会での法案成立は見送りへ 自民が公明に伝達

2025/05/20 17:57 

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 選択的夫婦別姓制度を導入する法案が、今国会で成立しない見込みとなった。自民党は20日、公明党との幹部会合で制度導入に向けた民法改正案について、今国会での成立を見送る考えを伝えた。野党の足並みもそろわず、今国会でいずれの法案も成立しない公算が大きい。

 自民の森山裕幹事長と公明の西田実仁幹事長が20日、東京都内のホテルで会談。自民側は立憲民主党が提出した導入法案について「関係する法律が650以上、政省令は2700を超える。実態を検証する必要があり、今国会では難しい」との考えを伝えた。公明側は「引き続き連携していく」と応じた。同席した自民の坂本哲志国対委員長らが明らかにした。

 自民幹部は「特に地方自治体の負担が大きい。あれだけの関係法令などの影響を会期末まで残り1カ月で精査するのは難しい」と語った。

 一方、立憲の辻元清美氏は記者団に、自民が650の法律などに影響すると主張する根拠について、サイト上の法律のデータベースに「氏」と入力してヒットした件数だと自民から説明を受けたと主張し、疑義を投げかけた。その上で、法務省から影響がある法律は4本との回答を得ていると強調した。

 自民内では制度導入に否定的な保守派が旧姓の通称使用拡大を求めており、導入積極派との溝は埋まっていない。党として賛否を明確にせずに「導入した場合の影響を検証中」とすることで、夏の参院選を前に党内の分断を避ける思惑があるとみられる。

 自民は既に独自法案の提出見送りを決め、造反者が相次いで野党案が可決されないよう、立憲案などに反対する党議拘束をかける案を検討している。

 野党の歩調も乱れている。立憲は制度導入に向けた提出法案への賛同を呼びかけるが、日本維新の会は19日、旧姓の通称使用を法制化する戸籍法の一部改正案を衆院に提出。国民民主党も独自案の検討を進めている。【森口沙織、高橋祐貴】

毎日新聞

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