IEA、過去最大の石油備蓄放出へ ウクライナ侵攻時の2倍超
日本を含むエネルギー消費国で構成する国際エネルギー機関(IEA)は11日、過去最大となる4億バレルの石油備蓄の協調放出を実施すると全会一致で決めた。米国・イスラエルとイランの交戦でホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となるなか、大量の石油を市場に供給し、高騰した原油価格を引き下げる狙いがある。
IEAによる協調放出は、ロシアがウクライナに侵攻した2022年以来6回目。放出量は22年(計1億8200万バレル)の2倍超に上る。
IEAによると、協調放出は各加盟国の国内事情に応じ、適切な期間のうちに市場に放出される。さらに「一部の国は追加の緊急措置が講じられる」としている。国別の放出量の内訳など詳細は現時点で明らかになっていない。
ホルムズ海峡は世界の石油供給量の約2割が通過する海上輸送の要衝。現在はイランの攻撃や機雷被害に遭う事態を恐れ、2週間近くにわたって船舶が通れない状況が続いている。
世界的な供給不安で原油価格は高値圏にある。戦闘の長期化リスクが強まったことで、ニューヨーク原油先物市場は指標となる米国産標準油種(WTI)が米東部時間8日夜に急騰。1バレル=100ドルの大台を突破し、一時119ドル台を付けた。
IEAとしては、協調放出でまとまった石油を市場に投じることで混乱を鎮め、原油価格の下落を図りたい考えだ。ビロル事務局長は11日の声明で「我々が直面する課題は規模の面で前例がない。そのため、加盟国が前例のない規模の緊急共同措置で応じたことは大変喜ばしい」と述べた。重大な供給障害に世界規模で対処する姿勢を示した。
IEAは原油の安定供給の維持を目的に、加盟国に石油の備蓄を義務づけている。12億バレル超の緊急備蓄のほか、業界としても6億バレルの備蓄を保有している。
イラン情勢を巡っては、主要7カ国(G7)も議論を進めている。10日のエネルギー担当相会合では、G7として石油備蓄の放出で協調して対応する方針で一致。11日には首脳会談を開催し、イラン情勢が経済に与える影響などを議論する見込みだ。【ワシントン浅川大樹】
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