「関税の脅し」に反発の声 欧米間で亀裂 グリーンランド領有巡り

2026/01/18 11:41 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 トランプ米大統領は17日、自身が意欲を示すデンマーク自治領グリーンランドの領有を巡り、英仏独など欧州8カ国からの全ての輸入品に対し、2月から10%の追加関税を課すと表明した。グリーンランドの「完全かつ全面的な買収合意」が成立するまで継続する意向で、6月には25%に引き上げる方針も示した。関税を武器に意に沿わない同盟国に圧力をかけた形で、欧米間で対立が深まりかねない情勢となっている。

 自身のソーシャルメディアで明らかにした。関税の対象となる国は英仏独と、デンマーク▽ノルウェー▽スウェーデン▽オランダ▽フィンランド――の計8カ国。いずれも北大西洋条約機構(NATO)の加盟国で、うち6カ国は欧州連合(EU)にも加盟している。今回の関税がどの法律に基づくかは明らかにしていないが、米CNNによると、国際緊急経済権限法(IEEPA)によって発動される見込みだ。同法を根拠とした関税は米連邦最高裁で合法性が争われており、近く判決が出るとみられている。違法判断が出た場合はその発動が認められず、政権側は対応を迫られる可能性がある。

 トランプ氏は投稿で、これらの国々が「目的不明のまま」部隊をグリーンランドへ派遣したとし、「危険なゲームを行い、持続不可能なレベルのリスクをもたらした」と批判した。独仏など欧州諸国は、北極圏でのNATOの演習実施に向けた調査を目的に、グリーンランドへの小規模部隊の派遣を実施・表明していた。

 トランプ氏は「中国とロシアがグリーンランドを狙っている」と従来の主張を繰り返し、「米国そして世界の国家安全保障がかかっている」として米国による領有の必要性を主張した。デンマークや関係各国と交渉する用意があるとも明記した。

 ◇欧州各国から反発の声

 関税の対象となった欧州各国からは強い反発の声が出ている。マクロン仏大統領はX(ツイッター)への投稿で、米国の領有を拒否するデンマークとグリーンランドへの連帯を改めて示した上で「関税の脅しは受け入れられない。(課税されれば)欧州人は団結し、協調して対応する」と明言した。

 EU加盟国の一部に新たな関税を課された場合でも、個別の国ではなく、EUが対応する。EUのフォンデアライエン欧州委員長とコスタ欧州理事会常任議長(EU大統領)は連名で、「関税は大西洋を横断する(欧米の)関係を揺るがし、危険な負の循環に陥らせかねない」と批判する声明を出した。

 欧米間では、これまでも通商やロシアのウクライナ全面侵攻への対応を巡り路線が対立する局面があった。今回の追加関税措置の表明で、亀裂が広がる懸念がある。

 グリーンランドを巡っては、米国のバンス副大統領とルビオ国務長官が14日にデンマークのラスムセン外相、グリーンランド自治政府のマッツフェルト外相と協議した。双方の間に「根本的な見解の相違がある」(ラスムセン氏)ものの、作業部会を設置することで合意した。トランプ氏は16日、米国に同調しない国々に対して関税を課す可能性を示唆していた。【ワシントン浅川大樹、ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

国際

国際一覧>

注目の情報