ドイツ、イスラエルへの軍事輸出を当面停止 戦闘拡大を批判

2025/08/09 08:32 

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 イスラエル政府がパレスチナ自治区ガザ地区北部のガザ市制圧計画を承認したことを受け、ドイツのメルツ首相は8日、ガザで使用される恐れのある軍事装備品のイスラエルへの輸出を当面停止すると表明した。

 ドイツはナチス政権下のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の反省から、イスラエルを強く支持してきた。しかし、ガザ地区の人道危機が深刻化する中、メルツ氏は批判的な発言を繰り返しており、初めて具体的な措置に踏み切った。

 メルツ氏は声明で、イスラエルが戦闘を拡大すれば、人質の解放や停戦といった目標が「どのように達成するのかますます不明確になる」と批判。ガザ住民の窮状に懸念を示した。

 ドイツは米国に次ぐイスラエルへの武器供給国であり、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、ドイツはイスラエルの2019~23年の主要な武器輸入の3割を占めている。

 23年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けると、当時のショルツ政権は支援を強化し、兵器や装備品の輸出を拡大。同年の輸出額は前年比10倍近い3億2000万ユーロ(約550億円)に達した。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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