パキスタンでポリオ感染再拡大の恐れ 背景に陰謀論や「特殊事情」も
ポリオ(小児まひ)の根絶に向けた取り組みが続くパキスタンで、再び感染拡大の恐れが出ている。6月に入り、これまでに流行が収束していた地域でも新たな感染が報告された。
ワクチン接種に対する陰謀論や、国際テロ組織にまつわる過去の特異な諜報(ちょうほう)活動が影を落としている。
ポリオは主に乳幼児が発症する感染症で、罹患(りかん)すると手足のまひなどの後遺症が出ることがある。
◇7年ぶりの感染例も
世界保健機関(WHO)によると、現在、野生株のウイルスの流行が続いているのは、パキスタンとアフガニスタンの2カ国のみだ。ただ、イスラエルの侵攻が続くパレスチナ自治区ガザ地区でも2024年8月、25年ぶりにポリオの感染例が確認された。
AP通信によると、パキスタンで6月に新たに感染が報告されたのは、北部ギルギット・バルティスタン地域だという。この地域での感染例は7年ぶりで、国内で今年11例目となる。
パキスタン首相府は5日、新たな感染例について「重大な懸念」として、予防接種の改善を指示した。
パキスタンでは、政府などが主導して、子どもを対象にポリオ根絶に向けたワクチン接種キャンペーンを実施している。だが、感染はむしろ拡大傾向にある。24年は73件が確認され、21年の1件から急増した。
背景には、長年の「反ワクチン」運動が関係しているとされる。「ワクチンは西側の陰謀で、子どもを不妊化してしまう」といった主張を信じて、接種を拒む人も少なくないという。
◇テロ組織の亡霊?
さらにもう一つ、特殊な事情がある。
パキスタンでは、11年に国内で米軍に殺害された国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者の捜索に際して、米国が予防接種を装って諜報活動を行ったとされる。
そのため、ワクチン接種の従事者や警護員らを標的としたイスラム武装勢力によるテロ攻撃が後を絶たない。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、テロは近年増加し、24年だけで少なくとも20件の襲撃事件があったという。特に国の南西部でテロが増え、ワクチン接種が進まないために感染が急拡大しているとの見方もある。【ニューデリー松本紫帆】
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