「イランが60%濃縮ウランの製造停止に同意」 IAEA事務局長
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は20日の記者会見で、核開発疑惑を持たれているイランが濃縮度を60%に高めたウランの貯蔵量を現行の水準よりも増やさないことで同意したと明らかにした。ただ、ウィーンで開催中のIAEA理事会では、IAEAの調査に非協力的だとしてイランを非難する決議案が欧米諸国により提出されており、採決の結果次第では、イランが反発して方針を転換する可能性もある。
グロッシ氏によると、イランに対して高濃縮ウランの製造停止を要請したところ、イラン側も受け入れを表明した。すでにIAEAの査察官により、一部の予備的な措置が取られたことを確認したという。
ただ、ロイター通信は外交関係者の話として、イラン側は60%のウラン濃縮を停止する条件に欧米諸国による非難決議案の提出取りやめを挙げていたと報じている。グロッシ氏は会見で「(イラン側と)協議した際は条件はつけられなかった」と述べたものの、「今後の進展次第ではほかのことが起きる可能性も排除できない」と付け加えた。非難決議は21日にも採決されるとみられている。
イランは2015年、欧米などと核開発を制限する代わりに経済制裁を解除する「核合意」を結んだが、18年に米トランプ政権(当時)が一方的に離脱したのを受け、対抗措置としてウラン濃縮を加速させた。濃縮度60%のウランは10月26日時点で182・3キロ保有しており、理論的には核兵器4個分に相当するとされる。【カイロ金子淳】
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