マガジン新人漫画大賞は最年少17歳の高校生が受賞 同級生にバカにされた経験「見返してやる!…

2026/08/01 11:30 

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何処かの誰か氏の作品『魔王を殺して俺も死ぬ』カラーイラスト

■『薫る花は凛と咲く』作者も絶賛の演出力

 講談社『週刊少年マガジン』の新人漫画賞『第116回 新人漫画大賞』は、現役高校3年生の17歳・何処かの誰か氏の作品『魔王を殺して俺も死ぬ』が特選に選ばれた。特選が出るのは4年ぶり、史上最年少受賞の快挙となり、9月2日発売の『週刊少年マガジン』40号&漫画アプリ『マガポケ』に掲載される。マガジン編集部や審査員を務めた『薫る花は凛と咲く』作者・三香見サカ氏が絶賛した作品で、オリコンニュースは何処かの誰か氏にインタビューを実施。学業と両立しながらの執筆苦労、中学時代にあった“バカにされた経験”を乗り越えて決意した漫画家の夢など、漫画に青春をかけた思いを語ってもらった。

【画像】センス抜群な構図!17歳の高校生が描いた漫画ページ

 作者の何処かの誰か氏は、大阪府に住んでいる現役高校3年生で、特選に選ばれた作品『魔王を殺して俺も死ぬ』は、定期テストの期間と重なりながら執筆。剣と魔法がある現代を舞台にしたロー・ファンタジーで、主人公が死んで生き返って…無限ループを繰り返しながら化け物を倒していく物語となっている。

 マガジン編集部は「物語冒頭から面白く、前半は怒涛のバトル展開で楽しませ、中盤は青春の儚さを描き、後半はヒロインの意外なダーク展開に驚きました。どう見てもバッドエンド一直線かと思いきや、ほっこりとさせるオチに着地した点も良かった。てんこ盛りの内容を50ページに収めた点も見事だった」と評価。

 審査員を務めた話題の青春漫画『薫る花は凛と咲く』作者・三香見サカ氏も「とんでもなく面白かったです。アクションもすごく上手だし、『こうくるか!』といった展開の連続で全く飽きがこない。中でも演出力がずば抜けていて、ラストの読後感もとても良かった。17歳でこのレベルなら基盤の画力が身についたら、どんな物になるのだろうと楽しみですし、同業として末恐ろしいです」と絶賛した。

■定期テスト期間中も作業 春休みは1日18時間執筆「今、めっちゃ青春してる!」
――史上最年少での特選受賞となりました。受賞を知った時の心境を教えてください。

 まず、マガジンの担当さんから自分の携帯電話にかかってきました。この賞に力を入れており、結果が気になっていたので「特選」と聞いた時は、年相応のように叫びました(笑)自分の部屋で「やばい!やばい!よっしゃー!」と、ずっと叫んだ記憶があります。

 特選賞金200万円と聞いたときは驚きましたし、札束の想像がつきません(※賞金は銀行振り込み)。ただ、使い道は考えていて、車の免許を取りたいので教習所に通う費用や、友人との卒業旅行で使いたいと思います。残りは1人暮らしの資金や執筆環境を整える費用、貯金など調子に乗って使いすぎないように気をつけたいと思います。

――現在、高校に通いながら執筆をしていますが、今回の受賞作はいつ執筆していたんですか?

 学生なので定期テストもあり大変でした。平日は執筆作業をせず、物語の展開を頭の中でまとめる程度で、放課後は友達と遊ぶことを優先していました(笑)。主な執筆は土曜・日曜の休日で、大体6時間くらい。割とゆっくり物語を作るタイプなので、今回の作品はトータル3ヶ月くらいで仕上げて、春休みの1ヶ月で一気に仕上げました。ただ、春休みの1ヶ月は生活習慣が悪かったです(笑)。その時は、正午に寝て、夕方4時くらいに起きて…の繰り返しで、18時間ぐらいは執筆作業をしていたと思います。

――時間の管理が大変そうですね。

 高校に入学してから感じたのは、「今、めっちゃ青春してる!」なと(笑)。今回の漫画も友達と遊ぶシーンがたくさんあるのですが、主人公とヒロインが遊ぶシーンは自分が体験してきたこと。古着屋で買い物したり、キャッチボールしたり、ラーメンを食べたり…、友達との大切な思い出です。まだ高校生の小僧ですが、「これからの人生で、こんなに楽しいことは今だけなんだろうな」と思い、どうしても漫画に入れたかった。自分の人生を振り返る作品になったと思います。ちなみにヒロインのモデルは女の子ではなく、男友達です(笑)

■自分の作品バカにされた中学時代…決意した漫画家の夢

――これから『マガジン』作家として連載デビューをしていくと思いますが、漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 小学生の時に漫画『星のカービィ』(小学館)にハマったのがきっかけです。学校で友達にも共有したいと思ったのですが、当然、学校に漫画は持ち込めない。それだったら、自分が『星のカービィ』の漫画を描いたら読んでもらえるなと。そこから描き続けたら楽しくなって、模写だけでなくオリジナルの『星のカービィ』漫画も描いていました(笑)

 職業として漫画家を志したのは中学生の時。オリジナルキャラクターで漫画を描いてみようと思い、下書きを学校に持っていて周囲にバレないように執筆作業をしていました。ただ、ある日、クラスメイトに見つかってしまい…。「こいつ、漫画描いてるぞ!」みたいに、その漫画を晒されてしまった。完成したら友人に見せるつもりだったので、未完成のままでも見られるのは別によかったのですが、その子は自分の漫画をバカにするような感じだったのでショックでした。自分で初めて作った作品を、そんな風に扱われるのが嫌で、不登校になるかどうかも考えてたくらいです。

 ただ、同時に「絶対、漫画家になって成功して、見返してやる!」と決意しました。漫画家を目指す動機は明るいものではないですが、間違いなくあの時、心に火が付きました。今は友人にも恵まれて漫画描くのが楽しい。なので今回、特選にも選ばれて、自分の漫画が評価されたことが本当にうれしいです。友達も喜んでくれました。

■今、ほしいものは「時間」 参考にしている漫画は『亜人』
――今回の作品は舞台が現代で、剣と魔法がある世界観のロー・ファンタジー作品でした。ネームなども含めて漫画のストックは今、いくつあるのですか?

 頭の中にある構想も含めると4作品くらいで、そのうち2作品は連載候補です。作品を描くうえで大切にしているのは、キャラクター同士の人間ドラマで、スポーツやラブコメ、ファンタジーなどジャンルを決めずに描くようにしています。キャラクターがしっかりしていれば、ドラマやストーリーが自然と生まれてくるからです。

 発想としては頭の中で急に絵が浮かんできて、「それを描くにはどうしたらいいのか?」と、そこからキャラクターの設定やストーリーを詰めています。自分は美術部に所属しているのですが、大事なシーンは、キャンバスに描いた1枚の絵を漫画のコマで表現している感覚。物語のネタは、ノートにまとめるタイプではなく、頭の中で整理した上でネームを作っています。キャラクターから作品を作り上げていくのではなく、思いついたキャラクターのポーズやシーンから、読者が読みやすいように表現しています。

 今回の受賞作品も、終盤の見開きページから誕生しました。主人公と敵のボスが戦うシーンなのですが、とある特殊な方法で主人公は戦闘を試みます。これを思いついた時、「このシーンに辿り着くには、どうしたらいいのか」と物語を作っていきました。

――漫画を作るうえで参考にしている作品はありますか?

 自分が人生で初めて大人買いした漫画が『亜人』(講談社)でした。コミックスの表紙を見た時に「かっけぇ!」と感じて、一気に読んだら展開が熱くてすごく面白かったです。話の展開を参考にしているのは『亜人』で、自分もいつか濃密な物語を描きたいです。理想としては、ひとつの作品を長期連載ではなく、物語をきれいにまとめて完結させたい。いろんな作品を世の中に出していきたいです。

――他誌の話になりますが、『ジャンプ』や『サンデー』は読まないのですか?

 読みます!ただ、学生でお金がないので毎週は買えず、好きな作品をコミックスで購入しています。なので、漫画アプリで定期的に全話無料公開されている時は、非常に助かります(笑)今回の賞金で、読みたかった漫画を大人買いしてもいいですね。

――お金がないのは学生あるあるですね(笑)今、一番ほしいものはなんですか?

 時間です。平日は学業優先、休日は漫画の執筆作業に追われて暇な時間がない。1日24時間は足りないので、1日プラス9時間はほしい。増えた時間は睡眠時間にしたいですが、なんだかんだ時間が増えても漫画を描いているような気がします。

 でも、今は友達と遊ぶ時間がもっとほしい。高校3年生になって卒業のことを考えているのですが、友達と自動車の運転免許の合宿に一緒に行くことを約束しました。誘われたのがきっかけで、面白そうだなって思って。友達がきっかけで自分の人生が動き出しているというか、人と接することが楽しい。人と遊ぶことが趣味なのかも知れません。なので人間ドラマが魅力な作品を描いて、読者を感動させたいです。
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